そのままの君が好き〜その恋の行方〜
「こんなことは、君には関係ないことだろうが、俺は妻には、はっきり言ってある。お前にはもうなんの愛情もない。許すつもりもない。今すぐにでも、家から叩き出したいくらいだが、娘の為に我慢する。そして、娘が高校に入ったら、有無を言わさず離婚する。親権は俺が取るし、絶対に渡さないってな。つまりこれから11年間、仮面夫婦を演じるわけさ。これはしんどいな、正直。愛情どころか、憎しみや嫌悪感しか抱けない女と1つ屋根の下で暮らすなんてな。だけど・・・これは俺に与えられた罰だと思ってる。加奈さんを傷付けた報いだよ。」
「・・・。」
「本当は彼女に言いたい。11年間待ってくれって、必ず迎えに行くからって。だけど、そんなこと、言えるわけない・・・。」
俺はこの男をやっぱり許せない。勝手なことばかり言ってると思う。しかし少なくとも、桜井さんを弄ぶつもりだけはなかったんだなとは、思わざるを得なくなっていた。
「俺にこんなことを言う資格なんかないって言われるのは、わかってる。だけどそれを承知で言わせてもらう。沖田くん、加奈さんを頼む。今の彼女を包んであげられるのは君しかいない。君はさっきはっきり言った。彼女は自分にとって大切な人なんだって。そう言い切れる君以外に、彼女の側にいる資格のある男はいないはずだ。」
「止めて下さい。俺にとってはそうでも、彼女にとって、そうであるとは限らないでしょう。現実に彼女は、俺と付き合ってたにも関わらず、あなたと・・・結ばれたんだ。そんな俺に何が出来ます?俺があんたの代わりになるくらいなら・・・俺は彼女に裏切られてなんかいない!」
とうとう言ってしまった。桜井さんは俺を裏切ったんだって、やっぱり俺はそう思っていたんだ。そうじゃない、俺は彼女にキチンと気持ちを伝えてなかった、だから仕方ないんだって思っていたのは、みじめな自分を認めたくなくて、そう思い込もうとしていただけなんだ。
「そうだったのか、君たちは付き合ってたのか。」
近藤はため息をつくようにポツンと言った。沈黙が流れる。1分、2分・・・それを破ったのは近藤だった。
「それでわかったよ。」
「えっ?」
「彼女は、俺が結局は、娘と離れられないのを察して、自ら身を引いてくれた。だけど、こんなことを言ってはなんだが、俺は彼女の初めての男だ。なのになんで、そう簡単・・・じゃなかったかもしれないが、諦めがつくのかと思っていた。その理由が今、やっとわかった。それは・・・俺の方が、彼女にとっては君の代わりだったからだ。」
それは、あまりにも意外な近藤の言い草だった。俺はしばらく言葉を失ってしまっていた。
「・・・。」
「本当は彼女に言いたい。11年間待ってくれって、必ず迎えに行くからって。だけど、そんなこと、言えるわけない・・・。」
俺はこの男をやっぱり許せない。勝手なことばかり言ってると思う。しかし少なくとも、桜井さんを弄ぶつもりだけはなかったんだなとは、思わざるを得なくなっていた。
「俺にこんなことを言う資格なんかないって言われるのは、わかってる。だけどそれを承知で言わせてもらう。沖田くん、加奈さんを頼む。今の彼女を包んであげられるのは君しかいない。君はさっきはっきり言った。彼女は自分にとって大切な人なんだって。そう言い切れる君以外に、彼女の側にいる資格のある男はいないはずだ。」
「止めて下さい。俺にとってはそうでも、彼女にとって、そうであるとは限らないでしょう。現実に彼女は、俺と付き合ってたにも関わらず、あなたと・・・結ばれたんだ。そんな俺に何が出来ます?俺があんたの代わりになるくらいなら・・・俺は彼女に裏切られてなんかいない!」
とうとう言ってしまった。桜井さんは俺を裏切ったんだって、やっぱり俺はそう思っていたんだ。そうじゃない、俺は彼女にキチンと気持ちを伝えてなかった、だから仕方ないんだって思っていたのは、みじめな自分を認めたくなくて、そう思い込もうとしていただけなんだ。
「そうだったのか、君たちは付き合ってたのか。」
近藤はため息をつくようにポツンと言った。沈黙が流れる。1分、2分・・・それを破ったのは近藤だった。
「それでわかったよ。」
「えっ?」
「彼女は、俺が結局は、娘と離れられないのを察して、自ら身を引いてくれた。だけど、こんなことを言ってはなんだが、俺は彼女の初めての男だ。なのになんで、そう簡単・・・じゃなかったかもしれないが、諦めがつくのかと思っていた。その理由が今、やっとわかった。それは・・・俺の方が、彼女にとっては君の代わりだったからだ。」
それは、あまりにも意外な近藤の言い草だった。俺はしばらく言葉を失ってしまっていた。