そのままの君が好き〜その恋の行方〜
全く予期してなかった唯との再会と告白に、心乱していた俺が、塚原が明日ドームで投げることを知ったのは、例のグループLINEでの本人の一言だった。
『どうも。明日、東京ドームで投げます。先発ピッチャー次第の部分はあるけど、6回から2イニングの予定です。ひょっとしたら、松本先輩との初対決もありか?!でも打たせるつもりは絶対ない。ここまで喰らいついて来た一軍の座、手放すつもりないんで。明日は絶大なるご声援、よろしくお願いします!!』
一度は抜けるつもりだったけど、結局みんなからの説得もあって、留まったグループLINE。仲間達とこうやって繋がってることの大切さを、実感している。
よし、明日は塚原の応援に行こう。そう思い立った。
翌日、チケットを持っていない俺は、早めに自宅を出た。オープン戦だし、ビジターであるE側なら、まぁ入りそびれることはないだろうとは思ったけど、念の為。
失業中の身の上で、あまり贅沢は出来ないが、さりとて1番安い外野席では、肝心の塚原のピッチングが見えない。結局内野スタンドの1番高い位置の席を購入した。ここなら、距離はあれど、ピッチングは見ることが出来る。
たぶん、というか間違いなく岩武さんは来てるはず。塚原、いいとこ見せてやるんだぞ。
試合前に、塚原が松本先輩に挨拶に行っていた。2人が一軍のグラウンドで会うのは初めてのはず。なんか感動した。
ゲームは比較的、淡々と進んで行ったが、6回に塚原が登板すると、見ているこちらの心拍数も上がって来てしまう。
高校3年間、俺は塚原とバッテリーを組んだけど、コイツが元々ピッチャーだったなんて、全く知らなかった。今、こうやってオープン戦とは言え、プロの一軍のマウンドに立っている姿を見ると、俺の球を受けてる時は、さぞイライラしてたんだろうな、と申し訳なく思ってしまう。
1イニング目は無難に投げた塚原だが、次の回に捕まり、1点を失い、尚一打同点のピンチで、打者松本先輩という場面はシビレたけど、ベンチの指示はなんと敬遠。
とんだ肩透かしになったが、ベンチの指示に唇を噛み、1塁に歩く松本さんを睨むように見つめていた塚原の気迫は、いかにも奴らしかった。
最後の打者を打ち取り、ベンチに引き上げる塚原に俺は思わず拍手を送っていた。
念願のプロ野球選手になれたものの、泣かず飛ばすの3年間を過ごしながら、腐ることも諦めることもなく、今、巡って来たチャンスを逃すまいと、全力を尽くしている塚原の姿に、俺の胸は熱くなっていた。
(俺も負けちゃいられない。)
改めて、そう心に誓って、ドームを後にした俺は、その後ろ姿を桜井さん達に見られているなんて、思いもしなかった。
『どうも。明日、東京ドームで投げます。先発ピッチャー次第の部分はあるけど、6回から2イニングの予定です。ひょっとしたら、松本先輩との初対決もありか?!でも打たせるつもりは絶対ない。ここまで喰らいついて来た一軍の座、手放すつもりないんで。明日は絶大なるご声援、よろしくお願いします!!』
一度は抜けるつもりだったけど、結局みんなからの説得もあって、留まったグループLINE。仲間達とこうやって繋がってることの大切さを、実感している。
よし、明日は塚原の応援に行こう。そう思い立った。
翌日、チケットを持っていない俺は、早めに自宅を出た。オープン戦だし、ビジターであるE側なら、まぁ入りそびれることはないだろうとは思ったけど、念の為。
失業中の身の上で、あまり贅沢は出来ないが、さりとて1番安い外野席では、肝心の塚原のピッチングが見えない。結局内野スタンドの1番高い位置の席を購入した。ここなら、距離はあれど、ピッチングは見ることが出来る。
たぶん、というか間違いなく岩武さんは来てるはず。塚原、いいとこ見せてやるんだぞ。
試合前に、塚原が松本先輩に挨拶に行っていた。2人が一軍のグラウンドで会うのは初めてのはず。なんか感動した。
ゲームは比較的、淡々と進んで行ったが、6回に塚原が登板すると、見ているこちらの心拍数も上がって来てしまう。
高校3年間、俺は塚原とバッテリーを組んだけど、コイツが元々ピッチャーだったなんて、全く知らなかった。今、こうやってオープン戦とは言え、プロの一軍のマウンドに立っている姿を見ると、俺の球を受けてる時は、さぞイライラしてたんだろうな、と申し訳なく思ってしまう。
1イニング目は無難に投げた塚原だが、次の回に捕まり、1点を失い、尚一打同点のピンチで、打者松本先輩という場面はシビレたけど、ベンチの指示はなんと敬遠。
とんだ肩透かしになったが、ベンチの指示に唇を噛み、1塁に歩く松本さんを睨むように見つめていた塚原の気迫は、いかにも奴らしかった。
最後の打者を打ち取り、ベンチに引き上げる塚原に俺は思わず拍手を送っていた。
念願のプロ野球選手になれたものの、泣かず飛ばすの3年間を過ごしながら、腐ることも諦めることもなく、今、巡って来たチャンスを逃すまいと、全力を尽くしている塚原の姿に、俺の胸は熱くなっていた。
(俺も負けちゃいられない。)
改めて、そう心に誓って、ドームを後にした俺は、その後ろ姿を桜井さん達に見られているなんて、思いもしなかった。