そのままの君が好き〜その恋の行方〜
「僕は、君とあの男との顛末を岩武さんから聞いた。その時、岩武さんから、君のこと、もう1度考えてみてくれないかと言われたけど、その時は、正直冗談じゃないと思ったよ。」
由夏、沖田くんにそんなこと言ってくれてたんだ・・・。
「さっきも言ったように、僕は聖人君主じゃないし、何より君がそんなことを望んでるはずないと思ったから。」
「・・・。」
「もう自分には何の関わりのないこと、そう思ってやり過ごすつもりだった。なのに・・・気が付くと君のことを考えてる自分がいた。嘆き悲しんでる君の姿が思い浮かんで来て、やりきれなくて、なぜか悔しくて・・・それがやがて怒りに変わって行った。そして、白鳥先輩に無茶なお願いをして、アイツの正体を突き止めて・・・あとはご存知の通りの結末さ。」
そう言うと、1つ息を吐く沖田くん。
「あとで、自分でも改めて考えたよ。俺は何をしに、何の為に近藤に会いに行ったんだろうって。そして出た結論は・・・やっぱり、僕はあの男をぶん殴りに行ったんだって。僕は、あの男が許せなかった。奥さんに逃げられたか何だか知らないけど、離婚も成立してないくせに君に手を出して。それだけでも許せないのに、結局娘の方が大切とかぬかして、桜井さんの優しさに付け込んで、君から逃げた。アイツには最初っから、君との愛を貫く覚悟なんてなかったんだ。そんな安直な気持ちで、自分の大切な人を結局蔑ろにしたアイツがどうしても許せなかったんだ!」
(自分の大切な人って・・・。)
その言葉に、私はハッとして、沖田くんを見つめてしまう。すると、その視線に応えるかのように、彼の表情には、自嘲気味の笑みが浮かんだ。
「でも、それって負け犬の遠吠えだよね。そんないい加減な男に、僕は結局・・・負けたんだ。君を引き留めることが出来なかったんだから。」
「沖田くん・・・。」
その言葉に、思わず下を向いてしまう私。だけど
「桜井さん。」
と呼び掛けられて、ハッと顔を上げる。
「後悔してる。あまりにも気付くのが、遅すぎたことを。自分にとって、君がどんなに大切な人なのか、どんなに君のことが好きだったのか、僕は、君が傷つけられるまで、気付く事が出来なかった。ゴメン。」
そう言って、頭を下げる沖田くんの姿を、私は信じられない思いで、見つめていた。そんな私を真っ直ぐ見た沖田くんは、意を決したように
「桜井さん。」
と、また私に呼びかけると言った。
「僕は・・・あなたが好きです。」
それは、いかにも彼らしい飾らない、でも人柄通りの真摯な告白だった。
私の中の時が、一瞬止まった。
由夏、沖田くんにそんなこと言ってくれてたんだ・・・。
「さっきも言ったように、僕は聖人君主じゃないし、何より君がそんなことを望んでるはずないと思ったから。」
「・・・。」
「もう自分には何の関わりのないこと、そう思ってやり過ごすつもりだった。なのに・・・気が付くと君のことを考えてる自分がいた。嘆き悲しんでる君の姿が思い浮かんで来て、やりきれなくて、なぜか悔しくて・・・それがやがて怒りに変わって行った。そして、白鳥先輩に無茶なお願いをして、アイツの正体を突き止めて・・・あとはご存知の通りの結末さ。」
そう言うと、1つ息を吐く沖田くん。
「あとで、自分でも改めて考えたよ。俺は何をしに、何の為に近藤に会いに行ったんだろうって。そして出た結論は・・・やっぱり、僕はあの男をぶん殴りに行ったんだって。僕は、あの男が許せなかった。奥さんに逃げられたか何だか知らないけど、離婚も成立してないくせに君に手を出して。それだけでも許せないのに、結局娘の方が大切とかぬかして、桜井さんの優しさに付け込んで、君から逃げた。アイツには最初っから、君との愛を貫く覚悟なんてなかったんだ。そんな安直な気持ちで、自分の大切な人を結局蔑ろにしたアイツがどうしても許せなかったんだ!」
(自分の大切な人って・・・。)
その言葉に、私はハッとして、沖田くんを見つめてしまう。すると、その視線に応えるかのように、彼の表情には、自嘲気味の笑みが浮かんだ。
「でも、それって負け犬の遠吠えだよね。そんないい加減な男に、僕は結局・・・負けたんだ。君を引き留めることが出来なかったんだから。」
「沖田くん・・・。」
その言葉に、思わず下を向いてしまう私。だけど
「桜井さん。」
と呼び掛けられて、ハッと顔を上げる。
「後悔してる。あまりにも気付くのが、遅すぎたことを。自分にとって、君がどんなに大切な人なのか、どんなに君のことが好きだったのか、僕は、君が傷つけられるまで、気付く事が出来なかった。ゴメン。」
そう言って、頭を下げる沖田くんの姿を、私は信じられない思いで、見つめていた。そんな私を真っ直ぐ見た沖田くんは、意を決したように
「桜井さん。」
と、また私に呼びかけると言った。
「僕は・・・あなたが好きです。」
それは、いかにも彼らしい飾らない、でも人柄通りの真摯な告白だった。
私の中の時が、一瞬止まった。