そのままの君が好き〜その恋の行方〜
㉞
俺には、まだやらなければならない重要なことがある。唯と会ったのは翌日のことだった。
前夜、電話で時間を作って欲しいと言った俺に、じゃ明日にしようと唯は答えた。
そして、待ち合わせ場所に現れた唯の表情は固かった。前日の俺の誘い方と口調で、既に用件の予想がついているようだった。
「とりあえずお昼でも食べない?」
と言ってみたが
「ううん、いい。」
と、にべもない。仕方なく、近くのカフェに入る。
昨日の電話で告げてしまおうか、さんざん迷った。しかし、会ってキチンと話をするのがやはり、筋というか、礼儀だろうと思ったのだが、どちらにしても、唯にしてみれば、辛いことを言われるのだから、むしろ顔を合わせての方が残酷だったのかもしれない、などと今更ながら、思ったりしてしまった。
オーダーを取りに来た店員が、テーブルを離れると、気まずい空気が流れる。
「それで、話って?」
その空気を破ったのは唯だった。それじゃダメだと、自分を叱咤しながら、俺は口を開こうとするが
「待って。やっぱりせっかく頼んだんだから、コーヒー飲んでから聞くよ。ここのコーヒー、結構美味しいから。」
それからコーヒーが来るまでの間、俺達はほとんど会話を交わすことはなく、また気まずい沈黙が俺達を包む。
何か話そうと思うのだか、正直話題が見つからない。かつては、そんなにいつも一緒にいて、飽きないのかよと、友達にからかわれてた俺達なのに・・・。
やがて運ばれて来たコーヒーは、確かにそれなりに美味しいとは思ったが、それを楽しむような心境にはとてもならない。
唯の方も、そそくさという表現がピッタリの感じで、飲み終えると、さぁどうぞと促すように俺を見た。もう、待ったはきかない。
「唯ちゃん・・・。」
俺は語り始める。
「許して欲しい、僕は君の想いを受け入れられない。」
俺がそう言うと、覚悟は出来ていたのだろうが、唯の瞳は見る見るうちに、悲しみを帯びて行く。
「君と再会して、もう一度好きだと言ってもらって、びっくりしたけど、嬉しかったよ。それは嘘じゃない。だけど・・・。」
ここで一旦言葉を切る。目の前の唯は俯いて、俺の言葉を聞いている。そんな彼女の姿に、正直心は痛む。だけど、言わないわけにはいかないんだ。
「君と離れている間に、僕には君より大切な人が出来てた。本当にゴメン。」
そう言うと、俺は唯に頭を下げた。
そんな俺を少し眺めていた唯は、やがて静かに首を横に振った。
「ううん、あなたが謝ることじゃないよ。だって、もともと私があなたを振ったんだもん。そのあとに、あなたに別に好きな人が出来て、それで、あなたを責めたり、恨んだりするなんて、おかしいよね。」
そう言うと、唯は寂しそうに笑った。
前夜、電話で時間を作って欲しいと言った俺に、じゃ明日にしようと唯は答えた。
そして、待ち合わせ場所に現れた唯の表情は固かった。前日の俺の誘い方と口調で、既に用件の予想がついているようだった。
「とりあえずお昼でも食べない?」
と言ってみたが
「ううん、いい。」
と、にべもない。仕方なく、近くのカフェに入る。
昨日の電話で告げてしまおうか、さんざん迷った。しかし、会ってキチンと話をするのがやはり、筋というか、礼儀だろうと思ったのだが、どちらにしても、唯にしてみれば、辛いことを言われるのだから、むしろ顔を合わせての方が残酷だったのかもしれない、などと今更ながら、思ったりしてしまった。
オーダーを取りに来た店員が、テーブルを離れると、気まずい空気が流れる。
「それで、話って?」
その空気を破ったのは唯だった。それじゃダメだと、自分を叱咤しながら、俺は口を開こうとするが
「待って。やっぱりせっかく頼んだんだから、コーヒー飲んでから聞くよ。ここのコーヒー、結構美味しいから。」
それからコーヒーが来るまでの間、俺達はほとんど会話を交わすことはなく、また気まずい沈黙が俺達を包む。
何か話そうと思うのだか、正直話題が見つからない。かつては、そんなにいつも一緒にいて、飽きないのかよと、友達にからかわれてた俺達なのに・・・。
やがて運ばれて来たコーヒーは、確かにそれなりに美味しいとは思ったが、それを楽しむような心境にはとてもならない。
唯の方も、そそくさという表現がピッタリの感じで、飲み終えると、さぁどうぞと促すように俺を見た。もう、待ったはきかない。
「唯ちゃん・・・。」
俺は語り始める。
「許して欲しい、僕は君の想いを受け入れられない。」
俺がそう言うと、覚悟は出来ていたのだろうが、唯の瞳は見る見るうちに、悲しみを帯びて行く。
「君と再会して、もう一度好きだと言ってもらって、びっくりしたけど、嬉しかったよ。それは嘘じゃない。だけど・・・。」
ここで一旦言葉を切る。目の前の唯は俯いて、俺の言葉を聞いている。そんな彼女の姿に、正直心は痛む。だけど、言わないわけにはいかないんだ。
「君と離れている間に、僕には君より大切な人が出来てた。本当にゴメン。」
そう言うと、俺は唯に頭を下げた。
そんな俺を少し眺めていた唯は、やがて静かに首を横に振った。
「ううん、あなたが謝ることじゃないよ。だって、もともと私があなたを振ったんだもん。そのあとに、あなたに別に好きな人が出来て、それで、あなたを責めたり、恨んだりするなんて、おかしいよね。」
そう言うと、唯は寂しそうに笑った。