そのままの君が好き〜その恋の行方〜
「いきなり・・・何言い出してるんだよ。悪い冗談は、よせよ。」
頭を下げたままの唯に、ようやく、そう言葉を絞り出した俺に
「冗談なんかで、こんなこと言えるわけないでしょ。」
泣きながら、顔を上げて、唯は言う。
「じゃ、どうして?就活が終わって、やっとまた一緒にいろんな所に行けるようになったのに。他に好きな奴でも出来たの?」
必死に尋ねる俺に、うつむきながら、唯は激しく首を横に振った。
「じゃ、なんで・・・?」
「私・・・大学辞める。」
「えっ?」
「アメリカに留学します。お父さんの会社に入って、将来継ぐために。」
唯の父親が3代目の社長を務める会社は、リゾートなどを手掛けるかなり大きな企業だ。唯はその創業家の大切なお嬢様なんだ。
「ソウくんにも何度か言ったよね。私は将来、お父さんの会社に入って、お父さんの手助けをしたいって。」
「うん。」
「私はソウくんのお嫁さんになって、ソウくんの赤ちゃんを産んで、ソウくんと幸せな家庭を築きながら、仕事も頑張ろうと思ってた。だけど・・・それは両立しない夢だった。ソウくんは、他の会社に就職が決まった。私と一緒に頑張る道を・・・選んではくれなかった。」
その唯の言葉に俺は、愕然と彼女を見る。
「そうだよね、そんなこと1度も話したことなかったもんね。勝手に私が1人で思ってただけ。仕方がないんだよ・・・。」
「唯・・・。」
「でも、これも私が勝手に考えてたことだけど、それでもソウくんのお嫁さんになりたいと思った。だけど、やっぱり無理。お兄ちゃんに続いて私まで、お父さんに背けないんだよ・・・。」
懸命に言葉をつなぐ唯。そんな彼女に俺は何も言うことが出来ない。
「押しかけるように彼女にしてもらった私を、あなたは本当に大事にしてくれた、愛してくれた。私はとっても幸せでした。あなたには感謝しかない。だけど・・・そんなあなたを私は裏切った。許して下さいなんて、とても言えない。一生憎まれても当然だと思ってます。だけど、これは誰に言われたわけじゃない、私が自分自身で決めたことなの。ごめんなさい、私のことは、一刻も早く、忘れて下さい。そして、新しい素敵な彼女を見つけて、幸せになって・・・。さようなら、ソウくん。」
必死に俺にそう告げると、もう1度頭を下げて、唯は背を向けて走り出した。
「唯!」
俺の呼び掛けに、もう唯は振り向いてはくれなかった。そして俺もそんな彼女を追いかけることは出来なかった。出来るはずもなかった・・・。
頭を下げたままの唯に、ようやく、そう言葉を絞り出した俺に
「冗談なんかで、こんなこと言えるわけないでしょ。」
泣きながら、顔を上げて、唯は言う。
「じゃ、どうして?就活が終わって、やっとまた一緒にいろんな所に行けるようになったのに。他に好きな奴でも出来たの?」
必死に尋ねる俺に、うつむきながら、唯は激しく首を横に振った。
「じゃ、なんで・・・?」
「私・・・大学辞める。」
「えっ?」
「アメリカに留学します。お父さんの会社に入って、将来継ぐために。」
唯の父親が3代目の社長を務める会社は、リゾートなどを手掛けるかなり大きな企業だ。唯はその創業家の大切なお嬢様なんだ。
「ソウくんにも何度か言ったよね。私は将来、お父さんの会社に入って、お父さんの手助けをしたいって。」
「うん。」
「私はソウくんのお嫁さんになって、ソウくんの赤ちゃんを産んで、ソウくんと幸せな家庭を築きながら、仕事も頑張ろうと思ってた。だけど・・・それは両立しない夢だった。ソウくんは、他の会社に就職が決まった。私と一緒に頑張る道を・・・選んではくれなかった。」
その唯の言葉に俺は、愕然と彼女を見る。
「そうだよね、そんなこと1度も話したことなかったもんね。勝手に私が1人で思ってただけ。仕方がないんだよ・・・。」
「唯・・・。」
「でも、これも私が勝手に考えてたことだけど、それでもソウくんのお嫁さんになりたいと思った。だけど、やっぱり無理。お兄ちゃんに続いて私まで、お父さんに背けないんだよ・・・。」
懸命に言葉をつなぐ唯。そんな彼女に俺は何も言うことが出来ない。
「押しかけるように彼女にしてもらった私を、あなたは本当に大事にしてくれた、愛してくれた。私はとっても幸せでした。あなたには感謝しかない。だけど・・・そんなあなたを私は裏切った。許して下さいなんて、とても言えない。一生憎まれても当然だと思ってます。だけど、これは誰に言われたわけじゃない、私が自分自身で決めたことなの。ごめんなさい、私のことは、一刻も早く、忘れて下さい。そして、新しい素敵な彼女を見つけて、幸せになって・・・。さようなら、ソウくん。」
必死に俺にそう告げると、もう1度頭を下げて、唯は背を向けて走り出した。
「唯!」
俺の呼び掛けに、もう唯は振り向いてはくれなかった。そして俺もそんな彼女を追いかけることは出来なかった。出来るはずもなかった・・・。