そのままの君が好き〜その恋の行方〜
それから川越さんは、ひと通りの業務内容を説明してくれた。パソコンの使い方も、本省とは違うし、私がこれから担当する業務はいわば「接客」であり、そういった面でも学ぶことが多そうである。正直、本省にいれば、ほとんど意識もしないことである。
「どうです?結構忙しいでしょ。」
川越さんの独演会のような業務説明を聞いているうちに、あっという間にお昼休みとなり、私達は昼食を摂りに近くの食堂へ出向いた。
「ここは場所柄、来所者が多いし、それこそ朝一から、言い方は少し変かもしれませんけど、にぎわってます。年齢層も老若男女問わずです。リストラで職を失った方、身体を壊して、止む無く前職を引いた方、旦那さんと離婚して、シングルマザ-になられた方、せっかく就職されたのに、環境が合わず、改めて職を探している僕たちと同年代の若者。理由も様々です。彼らはみな真剣に職を求めてます。そして求人も決して少なくないです。なのに今、日本は人手不足に悩んでいる企業があって、過労死を引き起こす状況もある。このアンマッチを少しでも解消し、幸せな人を少しでも増やすことが、僕たちに与えられた使命なんです。大変だけど、やり甲斐のある仕事だと思います。」
食事中も熱く語り続ける川越さん。その熱気に、いささか疲れを感じた私は、話題を変えようと口を開く。
「川越さん。」
「はい。」
「お願いがあります。私は川越さんより後輩で、ましてお仕事をいろいろ教えていただいてる立場です。どうか、敬語はなしにして下さい。」
真面目な人柄は伝わって来るけど、この人に話を聞いていると、やたら疲れを感じる原因の1つに、彼の堅苦しい話し方があることに気付いた私は、そう頼んでみた。
私の言葉に、一瞬キョトンとした表情になった川越さんは
「ごめんなさい。耳障りでしたか?」
とやっぱり敬語で言った。
「どうです?結構忙しいでしょ。」
川越さんの独演会のような業務説明を聞いているうちに、あっという間にお昼休みとなり、私達は昼食を摂りに近くの食堂へ出向いた。
「ここは場所柄、来所者が多いし、それこそ朝一から、言い方は少し変かもしれませんけど、にぎわってます。年齢層も老若男女問わずです。リストラで職を失った方、身体を壊して、止む無く前職を引いた方、旦那さんと離婚して、シングルマザ-になられた方、せっかく就職されたのに、環境が合わず、改めて職を探している僕たちと同年代の若者。理由も様々です。彼らはみな真剣に職を求めてます。そして求人も決して少なくないです。なのに今、日本は人手不足に悩んでいる企業があって、過労死を引き起こす状況もある。このアンマッチを少しでも解消し、幸せな人を少しでも増やすことが、僕たちに与えられた使命なんです。大変だけど、やり甲斐のある仕事だと思います。」
食事中も熱く語り続ける川越さん。その熱気に、いささか疲れを感じた私は、話題を変えようと口を開く。
「川越さん。」
「はい。」
「お願いがあります。私は川越さんより後輩で、ましてお仕事をいろいろ教えていただいてる立場です。どうか、敬語はなしにして下さい。」
真面目な人柄は伝わって来るけど、この人に話を聞いていると、やたら疲れを感じる原因の1つに、彼の堅苦しい話し方があることに気付いた私は、そう頼んでみた。
私の言葉に、一瞬キョトンとした表情になった川越さんは
「ごめんなさい。耳障りでしたか?」
とやっぱり敬語で言った。