そのままの君が好き〜その恋の行方〜
年末は慌ただしく過ぎて行く。年末商戦もヒートアップ、俺達も週末の休み返上で、取引先の応援に入る。
とにかく、自社の商品の良さを、1人でも多くのお客にわかってもらい、手に取ってもらって、買っていただく。地味で単純だが、これは結構難しい。
「『商い』は『飽きない』だ。」
昔の人は、うまいことを言う。
そんな多忙な日々の中、12月3週目の金曜日。我が部の忘年会が開かれた。
なんだかんだ言って、日本人はやっぱり「飲みニケーション」が大好き。この日も、多忙な時間をやり繰りして、ほとんどの部員が顔を揃えた。
彼氏一筋を公言する三嶋も、この日はもちろん参加。俺の隣に陣取って、例によって恋愛話だ。
「とにかく、沖田さんは自分のことがわかってなさ過ぎるんですよ。」
ビールも入って、ほろ酔い気分。まして、こういう席だ。三嶋も容赦がない。
「少しくらい、周りに目を向けて下さい。」
「どういうことだ?」
「先輩は何人の女子を泣かせたら、気が済むんですか?」
「おい、三嶋。人聞きの悪いこと言うな。俺がいつ、女子を泣かしたって言うんだ?」
「私が知ってるだけだって、3人の同期の子が玉砕してますよ。」
そう言って、俺をにらむ三嶋。
「前にお前にも言っただろ。今は仕事が恋人だって。」
「今の沖田さんは確かに、そうかもしれない。でも3週間前の沖田さんは違った!」
三嶋・・・。
「恋に臆病なのは、なんか理由があるんでしょ?でも、それを吹っ切る為には、新しい恋をすることです!」
なんで俺、後輩に恋愛のことで説教されてんだ。酒の力を借りての三嶋の勢いに、俺がタジタジになっていると、携帯が鳴り出した。
ディスプレイに表示された名前を見ると・・・
「桜井さん?」
俺は慌てて、席を外して部屋を出た。
「もしもし。」
『ゴメンね。今大丈夫?』
「今、忘年会中。でも大丈夫。席外したから。」
『時期だもんね。ウチも先週あった。』
「どうしたの?」
『実は・・・一緒に初詣、どうかなって思って・・・。』
「えっ?」
突然の桜井さんからの誘いに戸惑う俺。
『言い出しっぺは悠と白鳥さんなんだけど、私達、2人の披露宴の受付やったじゃない。そのお礼がしたいのと、この前は、当たり前だけど、ゆっくり話せなかったから、あの6人組で久しぶりに集まらないかって。』
俺と桜井さん、それに先輩と水木さん、塚原、岩武さんの6人で、高校卒業直前に浅草に遊びに行ったり、カラオケに行ったりしたのは、懐かしい思い出だ。
『どう・・・かな?』
躊躇いがちに聞いて来る桜井さんに、なんて返事をしたら、いいのか一瞬、判断つかないでいると、いきなり携帯を奪われた。三嶋だ。
おい、と言う間もなく、人の携帯に勝手に出た三嶋は
「もしもし、わかりました。必ず伺わせます。場所と時間を決めて、沖田さんから連絡させます。」
『えっ?ちょっと三嶋さん・・・。』
「すみません、宴会中なんで。でも私、三嶋が責任もって連絡させますから、ご安心下さい。じゃ、失礼します。」
と言うと、携帯を持って一礼して、三嶋は通話を切った。
「三嶋、何、勝手なことを・・・。」
「あんなキレイな人からの、折角のデートのお誘いを断るなんて、沖田さん、それでも男子?」
あのなぁ・・・、状況も背景も知らないで・・・。さすがに文句を言おうと思ったが、酔っ払いに文句を言ってもと、俺は言葉を飲み込む。
そんな俺の心境も知らず、三嶋はニコニコ笑ってやがった・・・。
とにかく、自社の商品の良さを、1人でも多くのお客にわかってもらい、手に取ってもらって、買っていただく。地味で単純だが、これは結構難しい。
「『商い』は『飽きない』だ。」
昔の人は、うまいことを言う。
そんな多忙な日々の中、12月3週目の金曜日。我が部の忘年会が開かれた。
なんだかんだ言って、日本人はやっぱり「飲みニケーション」が大好き。この日も、多忙な時間をやり繰りして、ほとんどの部員が顔を揃えた。
彼氏一筋を公言する三嶋も、この日はもちろん参加。俺の隣に陣取って、例によって恋愛話だ。
「とにかく、沖田さんは自分のことがわかってなさ過ぎるんですよ。」
ビールも入って、ほろ酔い気分。まして、こういう席だ。三嶋も容赦がない。
「少しくらい、周りに目を向けて下さい。」
「どういうことだ?」
「先輩は何人の女子を泣かせたら、気が済むんですか?」
「おい、三嶋。人聞きの悪いこと言うな。俺がいつ、女子を泣かしたって言うんだ?」
「私が知ってるだけだって、3人の同期の子が玉砕してますよ。」
そう言って、俺をにらむ三嶋。
「前にお前にも言っただろ。今は仕事が恋人だって。」
「今の沖田さんは確かに、そうかもしれない。でも3週間前の沖田さんは違った!」
三嶋・・・。
「恋に臆病なのは、なんか理由があるんでしょ?でも、それを吹っ切る為には、新しい恋をすることです!」
なんで俺、後輩に恋愛のことで説教されてんだ。酒の力を借りての三嶋の勢いに、俺がタジタジになっていると、携帯が鳴り出した。
ディスプレイに表示された名前を見ると・・・
「桜井さん?」
俺は慌てて、席を外して部屋を出た。
「もしもし。」
『ゴメンね。今大丈夫?』
「今、忘年会中。でも大丈夫。席外したから。」
『時期だもんね。ウチも先週あった。』
「どうしたの?」
『実は・・・一緒に初詣、どうかなって思って・・・。』
「えっ?」
突然の桜井さんからの誘いに戸惑う俺。
『言い出しっぺは悠と白鳥さんなんだけど、私達、2人の披露宴の受付やったじゃない。そのお礼がしたいのと、この前は、当たり前だけど、ゆっくり話せなかったから、あの6人組で久しぶりに集まらないかって。』
俺と桜井さん、それに先輩と水木さん、塚原、岩武さんの6人で、高校卒業直前に浅草に遊びに行ったり、カラオケに行ったりしたのは、懐かしい思い出だ。
『どう・・・かな?』
躊躇いがちに聞いて来る桜井さんに、なんて返事をしたら、いいのか一瞬、判断つかないでいると、いきなり携帯を奪われた。三嶋だ。
おい、と言う間もなく、人の携帯に勝手に出た三嶋は
「もしもし、わかりました。必ず伺わせます。場所と時間を決めて、沖田さんから連絡させます。」
『えっ?ちょっと三嶋さん・・・。』
「すみません、宴会中なんで。でも私、三嶋が責任もって連絡させますから、ご安心下さい。じゃ、失礼します。」
と言うと、携帯を持って一礼して、三嶋は通話を切った。
「三嶋、何、勝手なことを・・・。」
「あんなキレイな人からの、折角のデートのお誘いを断るなんて、沖田さん、それでも男子?」
あのなぁ・・・、状況も背景も知らないで・・・。さすがに文句を言おうと思ったが、酔っ払いに文句を言ってもと、俺は言葉を飲み込む。
そんな俺の心境も知らず、三嶋はニコニコ笑ってやがった・・・。