そのままの君が好き〜その恋の行方〜
お正月の掻き入れ時ということで、あの時食べたお得なランチは、お休みだったけど、久しぶりの専門店の天ぷらはなかなかの味だった。


「悠、もう男か女か、どっちかわかってるんでしょ?」


「うん。でも今回はあえて聞かないことにしてるんだ。」


「そう、2人目だからな。とにかく母子ともに健康で生まれて来てくれれば、それだけで十分だよ。」


私の問いに、悠と先輩は答える。仲睦まじく、そう答える2人はやっぱりナイスカップルだ。正直羨ましくなる。


「予定日、4月でしたよね。シ-ズン始まっちゃいますよね。」


「うん。舞の時には、立ち会えてないんでな。今回はなんとかと思ってるんだが、こればかりは、その時になってみないとな。」


「期待しないで、待ってます。」


「悠・・・。」


笑顔でそう言った悠に、ちょっと複雑そうな表情の先輩。


「ところで、塚原の今年の抱負は?」


と今度は沖田くんが、塚原くんに話を向ける。


「もちろん、今年こそ1軍に食い込む。それしかねぇよ。」


「Eの投手陣は層が薄い。十分チャンスはあるはずだ。」


白鳥先輩がスポ-ツ新聞の記者らしい、分析を披露する。


「二刀流が負担になってるんじゃないのか?」


大学時代からピッチャ-とキャッチャ-を兼任するいわゆる二刀流で有名になった塚原くんは、プロ入りする時も、異色のル-キ-と騒がれた。


「いや、球団の方針だし、俺にとってもチャンスがそれだけ広がるわけだから、それは関係ねぇよ。」


沖田くんの問いに、首を振る塚原くん。


「そういうソウの今年の抱負は?」


「俺ですか?そうだな・・・何事にも全力投球ってとこですかね。」


「元ピッチャ-らしい抱負だね。じゃ、加奈は?」


いよいよ私の番だ。


「今年は、仕事に全力で。さっきの初詣でもそうお祈りしました。」


「恋は?」


「それを第一目標に掲げるのは、ちょっと疲れました。今年はそちらは、なるようになるって思うことにする。」


そう言いながら、ちょっと横目で沖田くんを見た私。でも沖田くん、なんか下向いてたな・・・。
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