そのままの君が好き〜その恋の行方〜
天ぷら屋さんを出た私達は、近くのホテルのラウンジに場所を移して、更におしゃべりに花を咲かせたけど、気が付けばあっという間に夕方。そろそろ帰らなくては、と言う先輩に悠は


「え~、パパまだいいじゃん。」


と駄々をこねるけど


「何言ってるんだ。お前の身体が心配なんじゃないか。それにさすがに舞だってそろそろグズッて来る頃だ。お義母さん達にあんまり迷惑掛けらんないよ。」


「は~い。」


そう言って渋々立ち上がる悠。


「先輩、今日はありがとうございました。」


「こちらこそ、楽しかった。また集まろうぜ、それとせっかくグル-プLINE作ったんだから、ちゃんとやろうぜ。」


「はい。」


「みんな忙しいだろうけど、是非ウチに遊びに来てね。」


「悠も身体、気をつけてね。」


「ありがとう。じゃ、またね。」


先輩と悠を見送った私達は、スカイツリ-に向かう。やはりここまで来たら、夜景を見て行きたい。


「ねぇ、由夏。」


「うん?」


「さっき、由夏だけ、なんで今年の抱負言わなかったの?」


久しぶりに上って来た展望台。男子組とちょっと離れたのを見計らって、私は由夏に尋ねた。


「やっぱり、気が付いてた?」


由夏は、複雑そうな表情を浮かべる。


「聡志が・・・いたからね。」


「えっ?」


「私、どうしたらいいのかって・・・正直迷ってる。」


「由夏・・・。」


私は由夏の顔を見つめる。


「仙台に行って、聡志を支えたい、支えなきゃって気持ちはある。離れ離れになってるのも寂しいし。でも・・・。」


目の前に広がる夜景を見つめながら、由夏は言う。


「会社入って2年。そろそろ責任ある仕事も回って来るようになって、これからって時期じゃん。加奈が今年は仕事を頑張るって言った気持ち、よくわかるよ。」


「由夏・・・。」


「でも仙台に行ったら、それは諦めるしかない。向こうで同じ仕事を見つけられたとしても、また1からやり直しだし、現実問題として、プロ野球選手の奥さんって、ほとんどの人が専業だし。それは覚悟してるんだけど、今すぐって言われちゃうと・・・。」


由夏はここで1つため息をついた。
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