そのままの君が好き〜その恋の行方〜
「桜井さん。」


「はい。」


「よかったら、晩ごはん、一緒にどう?」


ちょっと照れ臭そうな表情で、私を見る沖田くん。


「喜んで、是非お願いします。」


微笑んで頷く私。


「ありがとう、じゃ。」


こうして、私達は歩き出した。2人きりになって、どうなるのかな、って思っていたんだけど、誘ってもらって、正直嬉しい。


三が日なので、夜になると、やってるお店がかなり少なくなる。でも、沖田くんは下調べをしといてくれたみたいで、戸惑うことなく、私をいざなってくれる。


結局、私達が入ったのは、昼間みんなでお茶したラウンジのあるホテルのレストランだった。


「キレイな夜景が見えるって、わけじゃないんだけど、ここくらいしかなかったから。」


「ううん。誘ってくれて、本当にありがとう。」


1度フラれてる立場としては、ちょっとホッとしてる。


注文を済ませた私達は、あらためて向き合う。出会ってから、もう7年。でも2人きりで、こんな風に向き合うなんて、初めてのこと。


正直緊張してるけど、誘ってくれたってことは、何か話がある・・・んだよね?


「今日は楽しかったね。」


「そうだね。高校時代の仲間って、やっぱりいいよね。」


「そう言えば、さっきスカイツリーで、岩武さんと何を話してたの?」


「えっ?」


あの内容を人に話していいものか、ちょっと戸惑っていると


「塚原のこと?」


と言われて驚く。


「やっばりね。2人の表情が、とても夜景を楽しんでるようには見えなかったから。」


「沖田くん・・・。」


「実は・・・こっちもそうだったんだよ。」


私の顔を見ながら、沖田くんは言う。


「アイツらもいろいろあるんだよな。学生の時みたいに、好きだからで全て済むわけじゃない。まして、今は遠距離だから、余計だよね。」


「・・・。」


「でも今頃はちゃんと、思いをぶつけ合って、また一緒に前に進んで行こうって、誓い合ってるよ。あの2人なら大丈夫。」


「そうだよね。」


沖田くんの言葉に、私は肯いていた。
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