そのままの君が好き〜その恋の行方〜
翌日、私はいつも通りに勤務をしていた。すると、昼休みに近藤さんが、私のところへ顔を出して、昼食に誘ってくれたので、省内の食堂に降りて来た。
「昨日は本当に助かったよ。ありがとうな。キチンとお礼をしなきゃならないんだけど、とりあえずここの定食で勘弁な。」
「いえ、そんなの気にしないで下さい。でも保育園の方は大丈夫でしたか?」
「うん。今朝も預けに行ったら、いろいろ言われたよ。」
そう言うと苦笑いを浮かべる近藤さん。
「現実的には、7時のお迎えでも厳しいですよね。」
私の言葉に、近藤さんは頷く。
「このままじゃ、全部がダメになってしまう。そろそろ俺も腹を括らないとな。」
その言葉を聞いて、私はハッと、近藤さんの顔を見る。
「今のままじゃ仕事もキチンとこなせない、子育てもやりきれない。みんな中途半端のままだ。」
「・・・。」
「とりあえず、今の勤務はこのままじゃ無理だ。もう少し、時間拘束が緩い部署に変えてもらえるように、課長には頼んでいるんだ。」
「でも、それって・・・。」
いい悪いは、この際、別問題として、本省にいる限り、残業は当たり前。時間拘束が緩い部署ということは本省を離れるということ。それはつまり、事実上キャリアという立場を捨てるのと同じだ。
「俺だって、努力してキャリアの役人になったんだ。それなりの野望は持ってるさ。子供を実家に預けることも考えた。でも、それって本末転倒じゃねって話だよな。子供と離れて暮らして、俺は何の為に頑張るんだろ?頑張れねぇよ。」
そうかもしれないな・・・。
「転勤だって、いつになるか。役人の異動は、あくまで定期が基本だし、まして俺は去年動いたばかりだし・・・。まさしくお役所仕事だからなぁ。」
「・・・。」
「そしたら、いよいよ転職だな。子供連れて、実家に戻って、三世代4人でやり直しって、いうのもありかもしれないな。」
(近藤さん・・・。)
「それにしても思い知らされたよ。家族の幸せって、やっぱり夫婦が力を合わせて、掴み取るものなんだって。どこで、道を間違えちまったのかな、俺達は・・・。」
なにか言ってあげたかった。でも私には、今の近藤さんに掛けてあげる言葉を、見つけることが出来なかった。
「昨日は本当に助かったよ。ありがとうな。キチンとお礼をしなきゃならないんだけど、とりあえずここの定食で勘弁な。」
「いえ、そんなの気にしないで下さい。でも保育園の方は大丈夫でしたか?」
「うん。今朝も預けに行ったら、いろいろ言われたよ。」
そう言うと苦笑いを浮かべる近藤さん。
「現実的には、7時のお迎えでも厳しいですよね。」
私の言葉に、近藤さんは頷く。
「このままじゃ、全部がダメになってしまう。そろそろ俺も腹を括らないとな。」
その言葉を聞いて、私はハッと、近藤さんの顔を見る。
「今のままじゃ仕事もキチンとこなせない、子育てもやりきれない。みんな中途半端のままだ。」
「・・・。」
「とりあえず、今の勤務はこのままじゃ無理だ。もう少し、時間拘束が緩い部署に変えてもらえるように、課長には頼んでいるんだ。」
「でも、それって・・・。」
いい悪いは、この際、別問題として、本省にいる限り、残業は当たり前。時間拘束が緩い部署ということは本省を離れるということ。それはつまり、事実上キャリアという立場を捨てるのと同じだ。
「俺だって、努力してキャリアの役人になったんだ。それなりの野望は持ってるさ。子供を実家に預けることも考えた。でも、それって本末転倒じゃねって話だよな。子供と離れて暮らして、俺は何の為に頑張るんだろ?頑張れねぇよ。」
そうかもしれないな・・・。
「転勤だって、いつになるか。役人の異動は、あくまで定期が基本だし、まして俺は去年動いたばかりだし・・・。まさしくお役所仕事だからなぁ。」
「・・・。」
「そしたら、いよいよ転職だな。子供連れて、実家に戻って、三世代4人でやり直しって、いうのもありかもしれないな。」
(近藤さん・・・。)
「それにしても思い知らされたよ。家族の幸せって、やっぱり夫婦が力を合わせて、掴み取るものなんだって。どこで、道を間違えちまったのかな、俺達は・・・。」
なにか言ってあげたかった。でも私には、今の近藤さんに掛けてあげる言葉を、見つけることが出来なかった。