そのままの君が好き〜その恋の行方〜
お世話になった近藤さんが、先輩として尊敬している近藤さんが、厚労省を辞めなくてはならないかもしれない。
何とか力になれないか、例えば以前のように同じ部署なら、仕事を肩代わりするとか、協力出来ることもあったかもしれない。でも現実的に、私に出来ることは、どうしても思い付かない。
私は沈みがちになる気持ちを、奮い立たせながら、午後の勤務についていた。
その日の勤務が終わり、近藤さんの所に寄ってみると、やはりとっくに帰ったあとだった。課長以下、ほとんどの人が残業していて、近藤さんのことを聞いても、冷ややかな反応だった。この雰囲気の中で、仕事をしているのは、辛いだろうな。
なんとも言えない気持ちのまま、退庁した私が、携帯を確認するとメールの着信ランプが。
(ひょっとして、近藤さん?)
そう思って、急いで発信者を確認すると
(沖田くん・・・。)
そうか、明日は土曜日。沖田くんとの約束の日だった。正直、頭から飛んでしまっていた。ゴメンね、沖田くん・・・。
私が、明日はお願いしますというメールを返そうとした時、それを遮るかのように着信が入った。見れば近藤さんからだ。
「はい、桜井です。」
『近藤です。もう退庁した?』
「はい。」
『じゃ、今ちょっといいかな?』
「はい。」
『明日なんだけど・・・何か予定あるかな?』
「どうしたんですか?」
聞き返す私。
『実は、明日急遽、面接に呼ばれて。』
「面接?」
『うん。昼間、転職も考えてるみたいな話をしたけど、いくつか履歴書出してる会社があって。』
「そうだったんですか?」
近藤さん、やっぱり本気なんだ・・・。
『こっちとしては、否も応もないから、伺いますって答えたんだけど、絵里の預け先がなくて。保育園の土曜保育は事前申請制で、間に合わないし、姉貴も子供の熱が、まだ下がってないみたいで・・・。オフクロを呼び寄せるには、時間がない。』
「・・・。」
『図々しいのは、百も承知してる。でも、明日絵里を頼めないかな?昼間の2、3時間でいいんだ。』
私は言葉に詰まった。これはさすがに断るべきだろう。明日は沖田くんとの約束がある。深入りしちゃダメだよ、という由夏の声も甦って来る。でも私が断ったら、明日の面接は無理になるはず・・・。
次の瞬間、私は答えていた。
「わかりました、大丈夫です。」
えっ、私なに言ってるの?加奈、本当にそれでいいの?
心の中で、もう1人の私が懸命に問いかけてくるけど
『そうか、助かる。恩に着るよ。』
心からホッとしたような近藤さんの声を聞けば、もう後戻りは出来なくなってしまった・・・。
何とか力になれないか、例えば以前のように同じ部署なら、仕事を肩代わりするとか、協力出来ることもあったかもしれない。でも現実的に、私に出来ることは、どうしても思い付かない。
私は沈みがちになる気持ちを、奮い立たせながら、午後の勤務についていた。
その日の勤務が終わり、近藤さんの所に寄ってみると、やはりとっくに帰ったあとだった。課長以下、ほとんどの人が残業していて、近藤さんのことを聞いても、冷ややかな反応だった。この雰囲気の中で、仕事をしているのは、辛いだろうな。
なんとも言えない気持ちのまま、退庁した私が、携帯を確認するとメールの着信ランプが。
(ひょっとして、近藤さん?)
そう思って、急いで発信者を確認すると
(沖田くん・・・。)
そうか、明日は土曜日。沖田くんとの約束の日だった。正直、頭から飛んでしまっていた。ゴメンね、沖田くん・・・。
私が、明日はお願いしますというメールを返そうとした時、それを遮るかのように着信が入った。見れば近藤さんからだ。
「はい、桜井です。」
『近藤です。もう退庁した?』
「はい。」
『じゃ、今ちょっといいかな?』
「はい。」
『明日なんだけど・・・何か予定あるかな?』
「どうしたんですか?」
聞き返す私。
『実は、明日急遽、面接に呼ばれて。』
「面接?」
『うん。昼間、転職も考えてるみたいな話をしたけど、いくつか履歴書出してる会社があって。』
「そうだったんですか?」
近藤さん、やっぱり本気なんだ・・・。
『こっちとしては、否も応もないから、伺いますって答えたんだけど、絵里の預け先がなくて。保育園の土曜保育は事前申請制で、間に合わないし、姉貴も子供の熱が、まだ下がってないみたいで・・・。オフクロを呼び寄せるには、時間がない。』
「・・・。」
『図々しいのは、百も承知してる。でも、明日絵里を頼めないかな?昼間の2、3時間でいいんだ。』
私は言葉に詰まった。これはさすがに断るべきだろう。明日は沖田くんとの約束がある。深入りしちゃダメだよ、という由夏の声も甦って来る。でも私が断ったら、明日の面接は無理になるはず・・・。
次の瞬間、私は答えていた。
「わかりました、大丈夫です。」
えっ、私なに言ってるの?加奈、本当にそれでいいの?
心の中で、もう1人の私が懸命に問いかけてくるけど
『そうか、助かる。恩に着るよ。』
心からホッとしたような近藤さんの声を聞けば、もう後戻りは出来なくなってしまった・・・。