残念少女は今ドキ王子に興味ありません
じゅういち
ゴメンね黙ってて
と歌う可愛らしい声。
歌詞を良く聴いてみると、彼氏がいることを黙ってて付き合っていた女の子の歌だったりする。
話したら会えなくなりそうで~って。
当たり前じゃん!!
と思うのに、可愛い女の子にこんな声で言われたら、男の方も思わず許しちゃうんだろうか…なんて。
「“オフェンシブハーフの右サイド”って、わかる?」
そう聞いたら、2人が揃っては?という顔になった。
だよね、そうだよね…。
いや、わかる人にはわかるんだよ。
でも、普通、女の子には言わないよね?
少なくとも、オフサイドがわからない―――というレベルでは、まず無理、だと思う。
『じゃあな、“シズル”』
もしかしたら―――そう思って、家に帰るなり写真を探して部屋の物入れを家捜しした。
出てきたのは集合写真。
何かの大会の後だと思う。フォワードの“アイツ”を真ん中に、その隣で肩を組んで座る自分が写っていた。
小学校の時、入っていたサッカークラブ。
4年生の冬に辞めた。
理由は―――
「シズル?」
ハッとして顔を上げると、2人が不思議そうな顔をして覗き込んでいた。
「大丈夫?何かあった?」
「てゆうか、昨日は大丈夫だったの?」
口々に言いながら身を乗り出してくる。
マズい…慌てて笑顔を取り繕った。
「うん、ゴメン、大丈夫。」
「ホントに~? てか、さっきのはなんなの?オフェンス…?」
「あー、うん、サッカーのね、ポジションなんだけど。」
「ポジション? ああ、だからオフェンス何とか」
「“オフェンシブハーフ”だよ。“攻撃的ミッドフィルダー”」
サッカーのポジションは大まかに3つ(キーパー除く)だ。
守る ディフェンダー
攻める フォワード
そのどちらもやる ミッドフィルダー
それぞれをバック、トップ、ハーフとも言い、ポジショニングによって、センターやサイドと呼び分ける。
最近では、フォワードでも守備をしたり、ディフェンダーでも攻撃に参加したりはするけど、基本的には守りと攻めというのは分かれているもので、中盤(ハーフ)であるミッドフィルダーは、攻撃的(オフェンシブ)と、守備的(ディフェンシブ)とに分かれている。
ウイングというのはフォワードの役割の1つで、サイドからドリブルで敵陣に切り込んで、センターへボールをクロスして、ゴールをアシストするのが仕事だ。
彼はフォーメーションによって、と言っていたから、フォワードとしても試合に出る事があるのだろう。
「それが、どうかしたの?」
リコに聞かれて、一瞬黙り込んだ。
まだ2人には昨日の事を話してなかったから。
「あ、うん。昨日…小説読んでたらサッカーの事が出てきてさ、色々ネットで調べてたら止まらなくなっちゃって…」
「あー、わかるわかる!次々リンク先に飛んでっちゃって、止まらないよね~」
ね~、と言うリコに適当に合わせて笑った。
ユウキは微妙な顔してたけど。
昨夜、1人1人写真の顔を見ながら当時の事を思い返してみたけど、彼だと思える人物は見当たらなかった。
という事は、少なくともこのチームでは無いって事だよね?
でも、じゃあ何で、彼は知ってたんだろう?
サッカーをやってた事も、私の名前も。
そこまで考えて、嫌な予感にドクリ…と心臓が音を立てた。
成陵で、彼はサッカー部に入ってるんだろう。
そこに、“あの時”のチームメイトが、居たとしたら?
何かの弾みで、その頃の話になって、それで―――
『まさか、お前みたいな男女(オトコオンナ)が、手作りとかすると思わないじゃん?』
ドクン―――
心臓がイヤな音を立てる。
『誰も“作ってくる”に賭けなかったら、賭けにならないだろ?だからこっちに賭けたのに―――』
ドクン、ドクン―――
蘇るのは、昨日の、あの笑顔だ。
切れ長の綺麗な瞳を細めて、形の良い唇が柔らかな弧を描いていた。
あんなに綺麗な微笑みの裏で、“彼”も嘲笑っていたんだろうか?
アイツらみたいに―――
と歌う可愛らしい声。
歌詞を良く聴いてみると、彼氏がいることを黙ってて付き合っていた女の子の歌だったりする。
話したら会えなくなりそうで~って。
当たり前じゃん!!
と思うのに、可愛い女の子にこんな声で言われたら、男の方も思わず許しちゃうんだろうか…なんて。
「“オフェンシブハーフの右サイド”って、わかる?」
そう聞いたら、2人が揃っては?という顔になった。
だよね、そうだよね…。
いや、わかる人にはわかるんだよ。
でも、普通、女の子には言わないよね?
少なくとも、オフサイドがわからない―――というレベルでは、まず無理、だと思う。
『じゃあな、“シズル”』
もしかしたら―――そう思って、家に帰るなり写真を探して部屋の物入れを家捜しした。
出てきたのは集合写真。
何かの大会の後だと思う。フォワードの“アイツ”を真ん中に、その隣で肩を組んで座る自分が写っていた。
小学校の時、入っていたサッカークラブ。
4年生の冬に辞めた。
理由は―――
「シズル?」
ハッとして顔を上げると、2人が不思議そうな顔をして覗き込んでいた。
「大丈夫?何かあった?」
「てゆうか、昨日は大丈夫だったの?」
口々に言いながら身を乗り出してくる。
マズい…慌てて笑顔を取り繕った。
「うん、ゴメン、大丈夫。」
「ホントに~? てか、さっきのはなんなの?オフェンス…?」
「あー、うん、サッカーのね、ポジションなんだけど。」
「ポジション? ああ、だからオフェンス何とか」
「“オフェンシブハーフ”だよ。“攻撃的ミッドフィルダー”」
サッカーのポジションは大まかに3つ(キーパー除く)だ。
守る ディフェンダー
攻める フォワード
そのどちらもやる ミッドフィルダー
それぞれをバック、トップ、ハーフとも言い、ポジショニングによって、センターやサイドと呼び分ける。
最近では、フォワードでも守備をしたり、ディフェンダーでも攻撃に参加したりはするけど、基本的には守りと攻めというのは分かれているもので、中盤(ハーフ)であるミッドフィルダーは、攻撃的(オフェンシブ)と、守備的(ディフェンシブ)とに分かれている。
ウイングというのはフォワードの役割の1つで、サイドからドリブルで敵陣に切り込んで、センターへボールをクロスして、ゴールをアシストするのが仕事だ。
彼はフォーメーションによって、と言っていたから、フォワードとしても試合に出る事があるのだろう。
「それが、どうかしたの?」
リコに聞かれて、一瞬黙り込んだ。
まだ2人には昨日の事を話してなかったから。
「あ、うん。昨日…小説読んでたらサッカーの事が出てきてさ、色々ネットで調べてたら止まらなくなっちゃって…」
「あー、わかるわかる!次々リンク先に飛んでっちゃって、止まらないよね~」
ね~、と言うリコに適当に合わせて笑った。
ユウキは微妙な顔してたけど。
昨夜、1人1人写真の顔を見ながら当時の事を思い返してみたけど、彼だと思える人物は見当たらなかった。
という事は、少なくともこのチームでは無いって事だよね?
でも、じゃあ何で、彼は知ってたんだろう?
サッカーをやってた事も、私の名前も。
そこまで考えて、嫌な予感にドクリ…と心臓が音を立てた。
成陵で、彼はサッカー部に入ってるんだろう。
そこに、“あの時”のチームメイトが、居たとしたら?
何かの弾みで、その頃の話になって、それで―――
『まさか、お前みたいな男女(オトコオンナ)が、手作りとかすると思わないじゃん?』
ドクン―――
心臓がイヤな音を立てる。
『誰も“作ってくる”に賭けなかったら、賭けにならないだろ?だからこっちに賭けたのに―――』
ドクン、ドクン―――
蘇るのは、昨日の、あの笑顔だ。
切れ長の綺麗な瞳を細めて、形の良い唇が柔らかな弧を描いていた。
あんなに綺麗な微笑みの裏で、“彼”も嘲笑っていたんだろうか?
アイツらみたいに―――