残念少女は今ドキ王子に興味ありません
にじゅうに
視線を巡らすだけで我慢しながら、校門を通り抜けた。
顔の筋肉は表情を動かさないように力を入れる。
まあでも、学校までは来ないよね?
そもそも、現代社会でそんな事したら、不審者扱いで通報されるのがオチだと思う。
明日が~と歌っていた、世界中で有名なとある歌。
駅で見かけるセーラー服を待ち伏せしたり後をつけたり…うん、今だったらストーカーじゃね?って思うけど、昔はきっと、純情な青年の純愛ソングとして流行ったんだよねぇ。
歌は世につれ世は歌につれ―――ちょっと意味違うか。
例の掲示板は2つとも、夕方までには削除されていた。
一瞬、じゃあいつものルートでいける?と思ったけど、案の定、2人の猛反対を受けた。
「昨日の今日なんだよ?何考えてんの?」
ユウキの目が物凄~く怖かった。
せっかく謝り倒してなおしてもらった機嫌が、またしてもナナメになってる。リコの顔も呆れてるし。
もー、ちょっと言ってみただけじゃん?
「こういうのはいたちごっこだからね。とりあえず、しばらくは大人しくバス使いなよ。」
「でなかったら、私達のどっちかが終わるまで待つ。」
どっちがいい?って言われたら、バスを使うしかない。
だって、2人を待って遅くなったら、今度は電車降りた後で1人になった時が怖くない?
幸い6月だから、寄り道しなければ日が暮れるまでに家に帰れるはずだ。
もう1つの掲示板は、コメントを読んだ限りでは、学校から“外苑前”までの帰り道で“私”を探すという、一種のゲームみたいなカンジになっていた。
―――○○のコンビニで発見!
―――ケーキ屋のぞいてたwww甘党確定
―――声かけてみた。やっぱスルー ( ̄∇ ̄;)┏
―――真っ正面から行ったら流石に気付いた。でも自分はちょっとムリ…
―――やっぱ“氷”?
―――取り付く島もない?
―――お高くとまってんじゃね?
―――単純に外見ダロ
―――色々試したらオモロイかもwww
―――“外苑前”で「処女」発見~www
―――フジョシだった!やっぱ「処女」決定~
―――マジかwww
―――うわ、ガッカリ
―――お前ら最低だな。削除依頼出したから。
―――うわ、出たよ、義憤マンwww
―――ドゾー、ご勝手に~
―――だいぶ飽きてたし?
―――バイバイ(*^-^)ノ
これ、例の“彼”かな?―――とリコが言っていたけど、どうだろう?もしかしたら大地かもしれないし。
まあとりあえず、この掲示板が無くなった事で少しは落ち着くんじゃないかなと、自分では思っている。
だって、何時までもやるような事じゃ無いよね?
どんだけヒマなのって話だよ。
いっそ髪を切るのもアリだと思うし。
そう言ったら、2人に揃って反対されたけど、サッカーやってる時はショートカットだったから、自分ではそこまで抵抗がないんだよね。
流石にもう、髪切ったぐらいで男に見間違えられる事は無い…と、思う。
よく女の子の方が成長が早いっていうけど、実際、小学生の頃は自分より小さい男の子が多くて、そのせいかよく間違われてた。
母やレイちゃんには日焼け止めを塗るようにと、口を酸っぱくして言われてたけど、その甲斐も無く、年中真っ黒だったしね。ガリガリで丸みの無い体付きも相まって、棒きれみたいだったっけ…。
思い出して、ふふっと笑ってしまう。
オトコオンナ、なんて、言われなくてもわかってたし、そんな事で傷付いた訳じゃない。
ただ、もし、私が男だったら、と思う。
男だったら、そもそもチョコレートを作ってこいなんて言われなかったと思うし。
1人だけ選ばれたとしても、それを実力で見返してやれば、皆納得してくれてたんじゃないかと思う。
でも、私は女だったから。
選ばれたのは贔屓だと思われて。
あんな風に寄って集って、笑い物にされてしまった。
仲間だと、思っていたのに。
彼等にとっては、そうじゃなかったんだ、と。
思い出して、目を伏せた。
もう、こんな気持ちにはなりたくなかったのに。
軽く頭を振って、イヤな思い出を閉め出した。
大丈夫、昨日彼が言ってたじゃん?
もう、来ないって。
大地が彼と同じサッカー部なら、もう二度と会わなくて済むはずだ。
だから、もう、忘れよう―――そう思いながら、バス停の屋根の下へ入った。
バス停に着くと、次のバスは20分後。ちょうど出た所だったみたいで、バス停で待ってる生徒もいなかった。
明日からも使うんなら持っておいた方がいいかと思い、時刻表にあるQRコードをスキャンしてから、待つ間読書をしようとベンチに座る。
皮のカバーをかけた本を取り出したところで、残りの本をレイちゃんの家に置いていた事を思い出した。
しまった―――昨日のゴタゴタですっかり忘れてた。
時計を見ると、まだ16時だ。
今は夏至が近いから、18時位までは十分明るい…から。
ちょっと位なら、いいよね?
心の中で2人に言い訳しながら、寄り道する事を自分の中で決定した。
顔の筋肉は表情を動かさないように力を入れる。
まあでも、学校までは来ないよね?
そもそも、現代社会でそんな事したら、不審者扱いで通報されるのがオチだと思う。
明日が~と歌っていた、世界中で有名なとある歌。
駅で見かけるセーラー服を待ち伏せしたり後をつけたり…うん、今だったらストーカーじゃね?って思うけど、昔はきっと、純情な青年の純愛ソングとして流行ったんだよねぇ。
歌は世につれ世は歌につれ―――ちょっと意味違うか。
例の掲示板は2つとも、夕方までには削除されていた。
一瞬、じゃあいつものルートでいける?と思ったけど、案の定、2人の猛反対を受けた。
「昨日の今日なんだよ?何考えてんの?」
ユウキの目が物凄~く怖かった。
せっかく謝り倒してなおしてもらった機嫌が、またしてもナナメになってる。リコの顔も呆れてるし。
もー、ちょっと言ってみただけじゃん?
「こういうのはいたちごっこだからね。とりあえず、しばらくは大人しくバス使いなよ。」
「でなかったら、私達のどっちかが終わるまで待つ。」
どっちがいい?って言われたら、バスを使うしかない。
だって、2人を待って遅くなったら、今度は電車降りた後で1人になった時が怖くない?
幸い6月だから、寄り道しなければ日が暮れるまでに家に帰れるはずだ。
もう1つの掲示板は、コメントを読んだ限りでは、学校から“外苑前”までの帰り道で“私”を探すという、一種のゲームみたいなカンジになっていた。
―――○○のコンビニで発見!
―――ケーキ屋のぞいてたwww甘党確定
―――声かけてみた。やっぱスルー ( ̄∇ ̄;)┏
―――真っ正面から行ったら流石に気付いた。でも自分はちょっとムリ…
―――やっぱ“氷”?
―――取り付く島もない?
―――お高くとまってんじゃね?
―――単純に外見ダロ
―――色々試したらオモロイかもwww
―――“外苑前”で「処女」発見~www
―――フジョシだった!やっぱ「処女」決定~
―――マジかwww
―――うわ、ガッカリ
―――お前ら最低だな。削除依頼出したから。
―――うわ、出たよ、義憤マンwww
―――ドゾー、ご勝手に~
―――だいぶ飽きてたし?
―――バイバイ(*^-^)ノ
これ、例の“彼”かな?―――とリコが言っていたけど、どうだろう?もしかしたら大地かもしれないし。
まあとりあえず、この掲示板が無くなった事で少しは落ち着くんじゃないかなと、自分では思っている。
だって、何時までもやるような事じゃ無いよね?
どんだけヒマなのって話だよ。
いっそ髪を切るのもアリだと思うし。
そう言ったら、2人に揃って反対されたけど、サッカーやってる時はショートカットだったから、自分ではそこまで抵抗がないんだよね。
流石にもう、髪切ったぐらいで男に見間違えられる事は無い…と、思う。
よく女の子の方が成長が早いっていうけど、実際、小学生の頃は自分より小さい男の子が多くて、そのせいかよく間違われてた。
母やレイちゃんには日焼け止めを塗るようにと、口を酸っぱくして言われてたけど、その甲斐も無く、年中真っ黒だったしね。ガリガリで丸みの無い体付きも相まって、棒きれみたいだったっけ…。
思い出して、ふふっと笑ってしまう。
オトコオンナ、なんて、言われなくてもわかってたし、そんな事で傷付いた訳じゃない。
ただ、もし、私が男だったら、と思う。
男だったら、そもそもチョコレートを作ってこいなんて言われなかったと思うし。
1人だけ選ばれたとしても、それを実力で見返してやれば、皆納得してくれてたんじゃないかと思う。
でも、私は女だったから。
選ばれたのは贔屓だと思われて。
あんな風に寄って集って、笑い物にされてしまった。
仲間だと、思っていたのに。
彼等にとっては、そうじゃなかったんだ、と。
思い出して、目を伏せた。
もう、こんな気持ちにはなりたくなかったのに。
軽く頭を振って、イヤな思い出を閉め出した。
大丈夫、昨日彼が言ってたじゃん?
もう、来ないって。
大地が彼と同じサッカー部なら、もう二度と会わなくて済むはずだ。
だから、もう、忘れよう―――そう思いながら、バス停の屋根の下へ入った。
バス停に着くと、次のバスは20分後。ちょうど出た所だったみたいで、バス停で待ってる生徒もいなかった。
明日からも使うんなら持っておいた方がいいかと思い、時刻表にあるQRコードをスキャンしてから、待つ間読書をしようとベンチに座る。
皮のカバーをかけた本を取り出したところで、残りの本をレイちゃんの家に置いていた事を思い出した。
しまった―――昨日のゴタゴタですっかり忘れてた。
時計を見ると、まだ16時だ。
今は夏至が近いから、18時位までは十分明るい…から。
ちょっと位なら、いいよね?
心の中で2人に言い訳しながら、寄り道する事を自分の中で決定した。