一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約

★若い男 晴正side

 思えば、俺にとって水族館デートのあれは、告白したようなものだった。

「美月とだけ、デートしたい」

 その言葉の返事は貰えていないが、少しずつ二人の空気も変わってきた気がしている。

 だが、はっきりとした関係になる前にキスをしてしまって以来、家の中では過度に近づかないようにしている。うっかり抱き締めて、またキスをして、それから……と自分が抑えられなくなりそうで。

 パーティでは婚約者だと胸を張って色んな方々に紹介した。例の御令嬢の件もこれで一件落着だろう。

 外堀も固めたし、あとは完璧なプロポーズを!
 俺の想いを、きちんと言葉にして伝えなければ!




 裁判所からの帰り道、俺は奈良崎と食事にきていた。
 裁判所近くのうどん屋で、さぬきうどんを出す店だ。とりからが乗ったぶっかけうどんが絶品で、裁判が上手くいった日は必ず立ち寄ることにしている。

「奈良崎は愛海さんにどんなプロポーズをしたんだ?」
「は? もうお前たち両想いになれたの?」

 俺の質問に質問で返してくる奈良崎。
さすがにセンシティブな情報だったか。

「いや、やっぱ教えてくれなくていい」
「なーんだよそれー!……まぁ教える気ないけど」
「ないのかよ」
「まぁ良かったよ。お前がやっと幸せになったようで。長年の恋がやっと身を結ぶんだなー」
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