一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約
★君の嘘は 晴正side
玄関のドアを開ける前に、一瞬戸惑う。もし、美月がまだ帰っていなかったら、まだアイツと過ごしていたら。
モヤモヤした自分の気持ちを抑えきれずにドアを開けると、彼女の靴が置いてあり、少し安心した。「おかえりなさい」と声をかけてくれる彼女は、本当にいつも通りで。それが余計に辛い。
俺は着替えもせずに、リビングのソファに座った。そして、彼女にも座るよう促す。
「美月は俺に隠してること、ある?」
「?!」
俺の質問にすぐに思い当たることがあるのだろう。驚いた目をした。そして、「……あ、あります」と、消えいるような答えが聞こえた。
信じたくなかった。
美月が俺に隠し事をしているなんて。男が苦手な彼女に、別の男がいるだなんて。どうしても信じたくなかった。だけど、あっさりと彼女は認めてしまった。それがこんなにも辛い。
「この生活、実は嫌なんじゃない? 無理してるよね?」
「いえ! あの、時間は選んでますし、家事はちゃんと出来てます! 嫌じゃないです!」
「でも俺より会いたいやつがいるんだろ?」
「そんなことありません!」
何故かこの期に及んで、まだこの生活を続けたいという。時間は選んでる? どういうことだ?
「それは、俺がお見合いの危機から救ったから? 事務所の弁護士だから?」
「え?」
「イケメンの方が良いんじゃないの?」
「イケメンでも、疑似恋愛みたいなもので……、本物ではなくて……えっと、その……」
疑似恋愛? 本物ではない?
それは、俺たちの偽装婚約のことだろうか。
「俺は、嘘は、嫌だ」
「!!」
美月は今度こそ、驚いた顔をした。必死に何か説明しようとしていたが、黙り込んでしまう。やはり、色々と嘘をついていたのかもしれない。美月の本当の気持ちが分からない。アイツのことが好きなのか、聞くのが怖い。
「……晴正さんは、お見合いしたかったですか?」
「え?」
「父に、お見合いを勧められていたんでしょう? お見合いしたかったですか?」
何故急に見合いのことを持ち出すのか分からなかった。ご両親も俺を相手にと望んでいたことを知って、義務的にこの家に住んでいたということか? 俺との偽装婚約でカモフラージュして、今後もアイツと付き合いたいということなんだろうか。
俺は、ずっとずっと君だけを見ていた。美月と一緒に暮らせて、楽しかった。こんな日々がずっと続いたらいいのにと、願ってばかりだった。だから。
「したかったよ」
絞り出した声が、震えてしまい、このままでは泣きだしてしまいそうだ。
「ちょっと頭冷やしてくる」
そう言って再び外出したが、どんな顔で帰ればいいか分からず、その日は事務所に泊まった。
翌朝から、美月は有給休暇を取り、事務所に来なくなってしまった。
モヤモヤした自分の気持ちを抑えきれずにドアを開けると、彼女の靴が置いてあり、少し安心した。「おかえりなさい」と声をかけてくれる彼女は、本当にいつも通りで。それが余計に辛い。
俺は着替えもせずに、リビングのソファに座った。そして、彼女にも座るよう促す。
「美月は俺に隠してること、ある?」
「?!」
俺の質問にすぐに思い当たることがあるのだろう。驚いた目をした。そして、「……あ、あります」と、消えいるような答えが聞こえた。
信じたくなかった。
美月が俺に隠し事をしているなんて。男が苦手な彼女に、別の男がいるだなんて。どうしても信じたくなかった。だけど、あっさりと彼女は認めてしまった。それがこんなにも辛い。
「この生活、実は嫌なんじゃない? 無理してるよね?」
「いえ! あの、時間は選んでますし、家事はちゃんと出来てます! 嫌じゃないです!」
「でも俺より会いたいやつがいるんだろ?」
「そんなことありません!」
何故かこの期に及んで、まだこの生活を続けたいという。時間は選んでる? どういうことだ?
「それは、俺がお見合いの危機から救ったから? 事務所の弁護士だから?」
「え?」
「イケメンの方が良いんじゃないの?」
「イケメンでも、疑似恋愛みたいなもので……、本物ではなくて……えっと、その……」
疑似恋愛? 本物ではない?
それは、俺たちの偽装婚約のことだろうか。
「俺は、嘘は、嫌だ」
「!!」
美月は今度こそ、驚いた顔をした。必死に何か説明しようとしていたが、黙り込んでしまう。やはり、色々と嘘をついていたのかもしれない。美月の本当の気持ちが分からない。アイツのことが好きなのか、聞くのが怖い。
「……晴正さんは、お見合いしたかったですか?」
「え?」
「父に、お見合いを勧められていたんでしょう? お見合いしたかったですか?」
何故急に見合いのことを持ち出すのか分からなかった。ご両親も俺を相手にと望んでいたことを知って、義務的にこの家に住んでいたということか? 俺との偽装婚約でカモフラージュして、今後もアイツと付き合いたいということなんだろうか。
俺は、ずっとずっと君だけを見ていた。美月と一緒に暮らせて、楽しかった。こんな日々がずっと続いたらいいのにと、願ってばかりだった。だから。
「したかったよ」
絞り出した声が、震えてしまい、このままでは泣きだしてしまいそうだ。
「ちょっと頭冷やしてくる」
そう言って再び外出したが、どんな顔で帰ればいいか分からず、その日は事務所に泊まった。
翌朝から、美月は有給休暇を取り、事務所に来なくなってしまった。