一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約
⭐︎あなたのそばに
私のことを好きだと言った晴正さん。私も、晴正さんが好き。嬉しくて、夢みたいだ。
だけど、私が晴正さんに隠し事をしていたことは、変わらない。
「私の、隠し事……は、聞かないんですか?」
「え?」
晴正さんも私も、勘違いをしていたことが判明した。
晴正さんは、守くんのことを指して『イケメンの方がいいんじゃないか』と言っていたのだ。つまり、私がオタクだということは知らない。
今は何も知らないから、好きだと言ってくれたけれど、私がオタクだと知ったら……?
このまま隠して、付き合うことは出来ないと思った。だから、言わなくちゃ。
「わ、私、あ、あの……!」
「言いたくなかったら、言わなくてもいいよ」
「え?」
晴正さんは、私の手をその大きな両手で包み込む。
「美月、俺を選んでくれない? 恋人がいるとか、好きな人がいるとか、そういう隠し事なら、聞きたくない。聞かないから、俺を選んでほしい。勘違いして、美月を泣かせてしまったけど、今度こそ必ず幸せにする」
「こ、恋人はいません! 私が、好きなのはっ……!」
言わなくちゃ!
「は、晴正さんです! わ、わたし、晴正さんが、好きです……!」
「ほ、本当に?」
「はい……! だ、だから、私の隠してたことも、知ってほしいです」
「うん、分かった」
彼がギュッと手を握ったままにしてくれているので、勇気が出た。
「あの、私っ、ご覧の通り、二次元の乙女ゲームにハマっていますっ!」
「へ?」
「壁とか棚の上とかにある、沢山のイケメングッズを収集しています。隙間時間は携帯でゲームをしたり、深夜アニメを録画して視聴したり、DVDとか色々購入して楽しむ、オタク、なんです!」
「……それが、隠し事?」
「はい……」
怖い……!
晴正さんが黙る。部屋を見渡し、壁にあるポスターや棚の上のグッズを眺めているようだった。引かれたら、どうしよう。
さっき言った告白は、無かったことにしてくれ、なんて言われたら……!?
「……かっこいい男たちばかりで、妬ける。……もしかしてコイツらを見てたのか? たまに美月が携帯を見てニコニコしてるのが、すごく気になってたんだ。くそっ、二次元に勝てるかな……」
ポツリと、心の底から悔しそうに晴正さんが言った。
「嫌いに、なりますか?」
「妬けるけど、全く。美月が好きだよ」
「!」