一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約
8 エピローグ
リーンゴーン リーンゴーン

 秋のよく晴れた佳き日。
 郊外にある小さな教会で、一組の男女が永遠の愛を誓い合った。
 そして教会から二人が出てくると、ゲスト達がフラワーシャワーで祝福をする。

「おめでとう!」
「おめでとうございます!」

 美男美女カップルなので、まるでプロモーションビデオを見ているかのような、美しい光景だ。

「綺麗ですね、愛海さん」
「美月の方がきっと綺麗だけどね」
「奈良崎先生も幸せそう」
「俺の方が幸せだけどね」
「んもう! 晴正さん! ご機嫌直してください!」

 今日は愛海さんと奈良崎先生の結婚式。

 マーメイドドレスに身を包んだ美しすぎる愛海さんを褒めちぎった後、奈良崎先生にも「乙女ゲームに出てきそうなくらい素敵」と賛辞を述べたところ、晴正さんのご機嫌が悪い。

「俺も美月に褒められたいのに」
「ふふっ。それならいつも思ってますよ? 晴正さん、素敵だなって」
「本当?」
「はい。晴正さんがタキシードを着たら、ファンが増えちゃいそうで……妬けます」

 恥ずかしいけど、素直に気持ちを伝える。
 以前、盛大にすれ違った私たちは、隠さず自分の気持ちを伝え合おうと約束した。

 素直な気持ちを言うのは、とても恥ずかしい。両親にも遠慮しながら生きてきた私には、わがままのようなことも言うのが難しい。
 だが、晴正さんが私以上に自分の気持ちを隠さず伝えてくれるので、少しずつ慣れてきた。

「早く美月のウェディングドレス姿、見たい」
「ふふっ。楽しみですね」

 私たちも、次の春に式を挙げる予定だ。

 天国の父と母も喜んでくれるだろうか。

(お父さん、お母さん、私、今とっても幸せです!)

 澄んだ秋空はどこまでも高く、私は笑顔で上を向いた。



**おしまい**
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