一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約
☆助けてください
「最近付き合い始めたことにすれば、あまりボロは出ないと思うんだ。以前から俺が一途に君を想っていて、念願叶って最近付き合い出した! だから真剣に未来を見据えて交際してますっていう感じで!」
西園寺先生が、何かゲームのあらすじみたいなことをつらつらと話している。全然ついていけません。
「俺がご両親とお話するよ。俺のスケジュール、今度の週末なら空いてるよね?」
「え? あ、はい。先生のスケジュール、週末は空けておきました」
ここのところ働き詰めの西園寺先生に、身体を休めていただく為だ。実家に招待する為じゃない。
「じゃあ、携帯貸して!」
「あ、あの、でも、ご迷惑じゃ……」
「あ、ごめん、突っ走っちゃった。名案だと思って。それとも他に、お見合いを止めてくれそうな恋人がいる……かな?」
「いえ! いません」
そう答えると、先生は目を見開いた。二十七歳にもなって、彼氏の一人も居ないのがそんなに驚くことなのだろうか。
「先生こそ、婚約者になりたい方なんて沢山いらっしゃるでしょう?」
「うーん、忙しいからね。俺。連絡つかないことばかりだし。全然モテないよ」
先生はモテている自覚がないようだ。しかし、男性に対して全く免疫のない私では荷が重すぎる。しかもこの事務所の先生と偽装だなんて。