一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約

 結局私たちは、近くの定食屋さんで夕食をとり、スーパーに寄って明日からの食材を買い込んだ。 

 プライベートで、家族以外の男性と2人きりで出歩くのも、外食をするのも、買い物をするのも人生初!

 ゲームの中では経験済なのに、ドキドキしっぱなしだ。

 車道側をさりげなく歩き、食事中も話題をたくさん振り、買い物も私に色々聞きながらメニューを一緒に考えてくださって……。

 なんてよく出来た(偽装)婚約者様!!

 そして、先生のお宅には、食料はもちろん食器も調理器具もほとんどなかった。男性の一人暮らしとなるとそんなものなのだろうか。色々足りないので、明日は買い出しをすることになった。

 並んで歩く帰り道。もう日は落ちているが、残暑の湿った空気が生ぬるい。先生が食材の荷物を持っていて、その歩行に合わせてビニール袋の音がカサカサと鳴る。

 この後、同じお家で、このひとと眠る……。

 もちろん寝室は別だけど、家族以外の男性が家にいるなんて初めてのことで、私は一人ドキドキしていた。
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