一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約
 それぞれ入浴した後、一緒にベッドに入る。

 先生のベッドはダブルベッドなので、二人が同時に寝転んでも余裕だ。ふかふかの布団からは、先生の……晴正さんの、匂いがする。

「じゃ、おやすみ!」

 眠るにしては割と元気な声で晴正さんが言った。お互いに背を向けて横向きに寝ているので、聞こえるように配慮してくださったのかも。

(先生……晴正さん、やっぱり優しいなぁ)

 心の中で何度も練習してみるが、やはり「晴正さん」と呼ぶのはなかなか慣れない。慣れる日は来るのだろうか。

「おやすみなさい」

 そう呟いたら、私は疲れていたせいか、すぐに眠りに落ちた。
 優しい先生……晴正さんに、いつか恩返しができますように。
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