一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約
思い返せば、こうして誰かの体温に包まれて眠るなんて幼少の頃以来だ。ドキドキしていたけれど、驚くほど心地良い。「人肌恋しい」という言葉があるが、確かにこの温もりを知っていたら、また包まれたくなるのかもしれない。
そうして色々考えている間に、私も微睡んでしまった。もう一度完全に目が覚めた時は、カーテンの隙間から煌々と太陽の光が差し込んでいた。
「〜〜っっ!??」
私が身じろぎしたことで目を覚ました晴正さんが、私を抱き枕にしていたことに驚いているようだ。声にならない叫び、こういう状態のことを言うのですね〜。
「おはようございます。晴正さん」
「あっ、うん。おはよ、うございます……。あ、あの俺、いつのまにか……」
「はい。私を抱き枕にされてました。よく眠れましたか?」
「……すごく。美月は嫌だった?」
「いえ、あの、初めてのことの連続で……とても驚きました! でも、だ、大丈夫、でした。私も先程まで眠ってしまっていたみたいで」
「あ、そ、そうなんだ。よかったぁ……」
そう言いながら、ぎゅっと晴正さんが抱き寄せてきた。「美月。ありがとう」と耳元で囁いて。私はこれまた心臓が爆発するかと思ったのだった。