一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約

 問題はあとの二箱だ。どうしても実家に置いて来るなんて出来ず持ってきてしまったイケメングッズの山。

 CDやDVDは円盤用の目隠し出来る入れ物に入れることにして、それ以外の缶バッジや下敷き、ペンライトにキーホルダー、ポストカード……。

 これらは隠してクローゼット内に保管して、定期的に取り出して鑑賞しよう!いつまでも段ボールだと怪しまれるかもしれないので、大きめの箱を手に入れなければ。

(よし、今日は1人でお買い物しよう)

 そう意気込んでいた最中、携帯が鳴った。

「もしもし高峰です」
『美月ちゃん、こんにちは。今大丈夫かしら?』
「あ、愛海さん!」

 愛海さんとは休日もたまにご一緒する仲だ。プライベートで電話を掛けて下さるのは珍しくない。だが、西園寺先生の、晴正さんのおうちにいることが、なんだか羞恥心のような、いけない事をしているような気持ちになってドギマギしてしまった。

『何かあった?今忙しい?』

 愛海さんに隠し事はしたくない。でもこの偽装婚約のことを、晴正さんに確認もせずに、バラしてしまうのはいけない気がして迷う。でも……。

「あの……」

 私の迷いを察してか、愛海さんはすぐに待ち合わせ場所を指定し電話を切ってしまった。私は外出出来る格好だったので、指定の場所まですぐ出発したのだった。

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