一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約
今日は月曜日。急いで洗面所にいき、自室で出勤の準備を整える。今日は白ブラウスに紺のフレアスカート。髪の毛は軽くシュシュでまとめて、朝食の用意をする。
晴正さんも召し上がってくださるかな。ご用意してみようかな、朝ご飯は召し上がらないタイプだったら、と悩みつつ、結局二枚のお皿におかずを盛る。
とりあえずで購入したプレートタイプのお皿。プレートに仕切りがあって、これ一枚で3品も載せられる優れ物。洗い物も少なくて済むし、軽くて割れないし、電子レンジも対応している! 素晴らしい発明品です!
今日の朝食は、昨日作ったポテトサラダとスープ、小さめのオムレツ、鶏ハムとチーズとレタスのサンドイッチ。
炊飯器がまだ無いのを失念して、お鍋をスープに使ってしまい、ご飯が炊けないままだった。購入したいものが沢山あるが、勝手に物を増やしていいものか迷う。
「ふぁー、おはよう」
あくびをしながら晴正さんが起きて来た。ふわふわの髪に少しだけ寝癖がついていて、可愛い。アヒルの尻尾みたい。
「おはようございます!……あ、あの、よかったら、朝ごはん……召し上がりませんか?」
「やった! ついに美月の手料理だー!」
さっきまで眠そうだった晴正さんの顔が一気に輝いて、素早く洗面所へ行き、「手伝うよ!」とウキウキ箸を並べてくれた。
「お口に合うか分かりませんが……」
「美味しそう! いただきます!」
晴正さんはハムスターばりに頬張ってもぐもぐした後、「おいひい!」と感想を述べた。
その顔が、いつも職場で拝見する難しい顔でも、優しい正義感溢れる上司の顔でもなく、少年のようで、おこがましくも可愛いと思ってしまった。