一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約
 そして迎えた約束の日。

 事務所内の皆さんは、同時に休むからといって私たちの仲を勘繰ってはいないようだ。担当弁護士が休むのでパラリーガルも休む、位にしか思われていないようで、内心ホッとしていた。所長である父に一緒に休む旨を伝えたら、難しい顔をしていたが。

 その後、パラリーガル専用の執務室で、念の為、愛海さんに引き継ぎをしていく。

「以上がペンディング案件です。連絡が必要な方には、既に本日午後は西園寺先生は不在と伝えてあります。もしクライアントからご連絡がありましたら、明日以降の対応になるとお伝えください」
「はーい!了解でーす」

 愛海先輩のデスクは、相変わらず色んな業務で山積みだ。あとで奈良崎先生にお手伝いしてもらえるのだろうか。明日私もお手伝いしようと心に決める。

「では愛海先輩、お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いします」
「はあい。デート楽しんで〜!」

 愛海先輩はニヤニヤ言った。

(せ、先輩?! 秘密バレちゃいますー!)

 他のパラリーガルに聞こえないかヒヤヒヤしながら必死に否定する。

「そ、そそそ、そんなんじゃ!」
「ふふ、気にせず楽しんでらっしゃいね!」
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