一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約


「美月はお酒弱いんだっけ?ノンアルコールカクテルもあるよ」
「いえ、飲めますよ! いただきます!」

 ここは夜景の見える海辺のレストラン。お洒落なメニューには美味しそうなお酒の名前がずらり。すぐさま出先でこんな素敵なお店に入れるなんて! さすがモテ男は違いますね!

 生活用品を色々と買い揃えた後、晩御飯は外食にすることにした。買ったものはまとめて翌日配送してくれるそうだ。

「前に事務所の忘年会に来た時は飲まなかった気がするけど。弱いのかと思ってたよ」

 そんなに前のことを! さすが晴正さん。よく人のことを見ているんだな。

「えっと……。父が飲んじゃダメってうるさくて……過保護なんです」

 なんと、就職して一年間は飲み会にも参加させてもらえなかったのだ。必死の説得の末、飲み会の席に行っても決して飲まないことを条件に参加の権利を勝ち取った。

「な、ナルホドー」

 ボス弁である父を思い浮かべているのか、晴正さんも苦笑いになる。

「だけど、自宅で飲んだ時はあまり酔わなくて! だから、たぶん強いです! こんなにお洒落なメニューをみたら、飲んでみたくなりました!」

「おお! いいね! じゃあ今夜は飲もう!」

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