一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約
窓の外には煌めく夜景。窓際の席で美しい景色を眺めながら、綺麗な色のカクテルを飲んでいる。
「すごく美味しい!」
わたしが頼んだのは、"スプモーニ''というカクテル。ピンク色で可愛い見た目の通り、とても飲みやすく美味しい。
「ジュースみたいに飲むと酔うから、気をつけて」
晴正さんは優しい。こんな時も、わたしを気遣ってくださって。
「晴正さんはお酒がお好きなんですか?」
「うん。好きかな。接待はあまり好きじゃないけどね。家でしっぽり飲むのが好きだな」
黒ビールをぐいっと飲みつつ晴正さんが答えた。家飲みの方が好きだなんて、意外。
人当たりも良く、飲み会の席でも話題の中心で、引く手数多な晴正さんは、みんなでワイワイ飲む方がお好きなのかと思っていた。
「じゃあ今度、おうちで飲みましょうね。しっぽりと」
そう言うと、晴正さんは少しだけ目を見開いた。あら、変なことを言ってしまったかしら。
ひとり酒が好きなのであって、私と一緒じゃ駄目だったのだろうか。
「… それは理性を保てる自信がないかなぁ」
「え?」
「ううん。2人で飲もう。家でも」
何か呟いた気がしたが、上手く聞き取れなかった。その後は美味しいお酒とお料理を食べながら、沢山お喋りをして、私はとっても笑った気がする。