一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約
ドサッ

「ひゃあ!」

 気付くと私を組み敷くように、晴正さんが私を見下ろしている。

 ほんわか酔って気持ちいい気分も、サーっと引いていき、驚きで心臓がバクバクしている。

「……は、晴正さん?」

 見上げると、熱っぽい視線が注がれていて。見たことのない余裕のない顔。

(こんな顔もかっこいい)

 見惚れていたところ、晴正さんがゴロンと横に転がった。ダブルベッドに二人、横並びに寝ている状態だ。

「美月、もう飲み会禁止!」
「えええ!」

 まさかの禁止令にショックを受ける。せっかく父には参加だけ許されたのに!

「酔った美月は可愛いすぎる! 他の男に見せないで! 俺だけにして!」

 こちらを向かず晴正さんが叫ぶように訴えた。心なしかお耳が赤いような?

「でも、今日お酒を飲めてとっても楽しかったですよ?」
「うん、だから、今度からは俺と二人の時だけにして」

 チラリとまた熱い視線を向けられて、少し収まっていた心臓がキュンと鳴り出した。

 思わず目を逸らして、「……はい……」と返事をすることしか出来なかった。

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