一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約
「よし! じゃあもしよかったら、夜は外に食べに行かない?」
「外食……ですか?」
「うん。それでその後、花火を観ながら家で二人で飲もうよ。しっぽり」
それはいつかの約束。覚えていてくださったことが、嬉しくて、少しくすぐったい気持ち。
「ふふふっ。良いですね!」
「じゃあ決まり!」
にっこり笑った晴正さんが、お決まりのハグをして、耳元でそっと囁いてきた。
「楽しみにしてる」
そう言い残して外出していった。
*
「姉ちゃんのこんな顔見る日が来るなんて……」
「やだー! 美月ちゃんてば! 可愛いっ!」
「へっ!?」
いつのまにか回想の世界に浸っていたのだと分かり、恥ずかしくなる。
「あー、お、お母さん! き、着替えてきますね!」
「いいわよ。それ美月にあげる! そのまま行きなさい!」
「え、でも……」
「その服とっても素敵よ。美月によく似合う。それで晴正さんをメッロメロにしてあげなさーい」
「めっ…!!?」
「姉ちゃん顔真っ赤ー! ウケるー」
そこへ私の携帯が鳴り始めた。愛海さんからだ。