一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約

「よし! じゃあもしよかったら、夜は外に食べに行かない?」
「外食……ですか?」
「うん。それでその後、花火を観ながら家で二人で飲もうよ。しっぽり」

 それはいつかの約束。覚えていてくださったことが、嬉しくて、少しくすぐったい気持ち。

「ふふふっ。良いですね!」
「じゃあ決まり!」
 
 にっこり笑った晴正さんが、お決まりのハグをして、耳元でそっと囁いてきた。

「楽しみにしてる」

 そう言い残して外出していった。





「姉ちゃんのこんな顔見る日が来るなんて……」
「やだー! 美月ちゃんてば! 可愛いっ!」
「へっ!?」

 いつのまにか回想の世界に浸っていたのだと分かり、恥ずかしくなる。

「あー、お、お母さん! き、着替えてきますね!」
「いいわよ。それ美月にあげる! そのまま行きなさい!」
「え、でも……」
「その服とっても素敵よ。美月によく似合う。それで晴正さんをメッロメロにしてあげなさーい」
「めっ…!!?」
「姉ちゃん顔真っ赤ー! ウケるー」

 そこへ私の携帯が鳴り始めた。愛海さんからだ。
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