一途な敏腕弁護士と甘々な偽装婚約

「ちょっと出ますね……もしもし」

『美月?! 落ち着いて聞いてね! 今、家の前に、救急車とパトカーが来てて! それで、さっき西園寺先生が帰ったとこだったから嫌な予感がして……。救急車の中は見えなかったんだけど、残ってた警察官に聞いたら、トラックに轢かれそうになった子どもを若い男性が助けようとして怪我をしたみたいなのっ……』

 目の前が真っ暗になっていく。優しい晴正さんが、子どもを助ける場面は、とても安易に想像出来た。

 晴正さんが、交通事故に……?! また(・・)、私は…!!

『今、涼に搬送先は何処か問い合わせてもらってるから。まだ、どんな怪我かも分からないし……。……美月? 聞いてる?! 大丈夫?』

「はぁっ……はぁっ! はっ」

『美月?!』

 愛海さんの声が遠のいていく。心臓が、バクバクして……、息が……!

ドサッ

「美月?!」
「姉ちゃん!!」

 そうして私は意識を失った。


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