legal office(法律事務所)に恋の罠
「和奏は小さかったからわからなかっただろうが、あの頃は色々あったんだ」
叔父である山崎庄太郎が、悲しそうに和奏に告げた。
「和奏のお母さん、そう、私の姉だが、姉には少し発達障害があってね。アスペルガー症候群と言われる中の、ある特定のことにしか興味を示さない、そう知的障害のない発達障害なんだ」
初めて聞く叔父の話に、和奏はじっと耳を傾ける。
側に立つ奏も、和奏の腰に手を回してずっと支えてくれていた。
「子育てには全く興味がなかった姉のことは和奏も覚えているだろう。だが、姉には全く悪気はないんだ。ただ興味が持てない。だから、慎之介さんはベビーシッターや家庭教師に子育てを委ねるしかなかった」
叔母も心配そうに和奏を見ているが、そちらに気を配る余裕は和奏にはなかった。
「ベビーシッターや家庭教師を何度も変えたのには理由があったんだ。夢谷の家の物を盗んだり、和奏を誘拐しようとしたり、小さい和奏にはわからないような犯罪を犯そうとする輩があとを絶たず、慎之介さんは、本当に信頼のおける人物を探して右往左往していたんだ」
幼い和奏には、どのベビーシッターも家庭教師もいい人にしかうつらなかった。
悪いのは、めったに家に帰ってこない父と、面倒をみてくれない母で・・・。
「そのうちに、和奏が笑わなくなった。食事も摂らなくなって。最後に行き着いたのが、山崎家・・・。家だったんだよ」
庄太郎は苦笑いをして続けた。
「義兄さんは、いつも後悔していたよ。和奏の面倒をみてあげられない上に、大切な存在を次々に奪って。それに義兄さんは、子供の扱いがわからなかった。ついつい職場の後輩のように扱ってしまって・・・」
和奏が慎之介を見ると、ばつが悪そうにサーブコーナーにいる晴子を見ている。
和奏が知る限り、そんな慎之介は見たことがなかった。
叔父である山崎庄太郎が、悲しそうに和奏に告げた。
「和奏のお母さん、そう、私の姉だが、姉には少し発達障害があってね。アスペルガー症候群と言われる中の、ある特定のことにしか興味を示さない、そう知的障害のない発達障害なんだ」
初めて聞く叔父の話に、和奏はじっと耳を傾ける。
側に立つ奏も、和奏の腰に手を回してずっと支えてくれていた。
「子育てには全く興味がなかった姉のことは和奏も覚えているだろう。だが、姉には全く悪気はないんだ。ただ興味が持てない。だから、慎之介さんはベビーシッターや家庭教師に子育てを委ねるしかなかった」
叔母も心配そうに和奏を見ているが、そちらに気を配る余裕は和奏にはなかった。
「ベビーシッターや家庭教師を何度も変えたのには理由があったんだ。夢谷の家の物を盗んだり、和奏を誘拐しようとしたり、小さい和奏にはわからないような犯罪を犯そうとする輩があとを絶たず、慎之介さんは、本当に信頼のおける人物を探して右往左往していたんだ」
幼い和奏には、どのベビーシッターも家庭教師もいい人にしかうつらなかった。
悪いのは、めったに家に帰ってこない父と、面倒をみてくれない母で・・・。
「そのうちに、和奏が笑わなくなった。食事も摂らなくなって。最後に行き着いたのが、山崎家・・・。家だったんだよ」
庄太郎は苦笑いをして続けた。
「義兄さんは、いつも後悔していたよ。和奏の面倒をみてあげられない上に、大切な存在を次々に奪って。それに義兄さんは、子供の扱いがわからなかった。ついつい職場の後輩のように扱ってしまって・・・」
和奏が慎之介を見ると、ばつが悪そうにサーブコーナーにいる晴子を見ている。
和奏が知る限り、そんな慎之介は見たことがなかった。