legal office(法律事務所)に恋の罠
「何もしてやれなかったって・・・、義兄さん。仲川や宇津井の悪巧みを明るみに出すよう基礎を固めたのは義兄さんじゃないですか」

「庄太郎くん、それは言わない約束だったろう・・・」

慌てる慎之介も和奏にとってはレアだ。

「お父様、今まで誤解していてごめんなさい。そして守ってくれてありがとう・・・」

涙ぐんだ和奏が慎之介に近づくと、慎之介はおずおずと和奏を抱きとめた。

「こちらこそすまなかった」

それは、初めて父と娘として心が通い合った瞬間だった。

とはいえ、一度に和奏と両親の間のわだかまりを払拭することは難しいだろう。

時間をかけてお互いをわかり合える努力をしなければと和奏は思った。


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