legal office(法律事務所)に恋の罠

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「ごちそうさまでした」

「とても美味しかったです。また、和奏さんと来店させてもらいますね」

和奏の腰に手を回し、片時も離れないようにしている奏に苦笑しながらも、

「ええ、是非またいらして下さいね。和奏ちゃんは宇津井のことは気にしないでいいから。こっちもうまくやるわ」

大学に入学してから2年以上、和奏はこのダイニングバーでバイトをしていた。

しかし、宇津井がここを彷徨くようになってからは、和奏もバイトを辞めてしまった。

宇津井の嫌がらせが、吉村やこの店に及ぶのを恐れたからだ。

そんな経緯から、和奏が心底心配しているのが、吉村には痛いほどわかっていた。

「大丈夫ですよ。吉村さんの店には一切近づかせないように私からもアプローチしてみます」

その言葉に、吉村は安心したように頷いて二人を見送った。

「和奏さん、送りますよ」

タクシーに乗り込んだ二人は和奏のマンションに向かった。

奏も一旦タクシーを降り、エントランスまで同行しようとした時だった。

「よう、酒を飲んで、御曹司をお持ち帰りとは、いいご身分ですね。夢谷弁護士さん」

そう声をかけたのは、ここにいるはずのない、莉音の元カレである、仲川将生だった。


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