legal office(法律事務所)に恋の罠
「莉音さん、ありがとうございます。最初にこの事を私に教えてくださったことは賢明な判断です」

和奏は、莉音の同意を得て、莉音へ送られたSNSメッセージを奏と山崎庄太郎弁護士に転送した。

すると、庄太郎からはすぐに連絡が入った。

「山崎先生、はい・・・、はい・・・、了解致しました。私は裏サイトの管理者の特定を急ぎます。先生はマスコミがアプローチを仕掛けてこないように対策をお願いします」

「兄さんとHotel Bloomingはどうなっちゃうんですか?」

不安そうな莉音を見て、和奏は逆に闘争心に火がついた。

「莉音さん、山崎弁護士も私も、この手の相談はいくつも対応してきました。しかも日常的にです。だから、成り立ての新米弁護士には負けないつもりですから安心してください」

そうだった。

今の和奏は、あの頃の未熟な和奏とは違う。

いくつもの修羅場をくぐり抜け、各方面に顔も知られるようになり、味方も多数いる。

実際に、宇津井がやろうとしていることは、子供が考えるレベルの悪質な詐欺だ。

しかも、無関係な女性を巻き込んでいる可能性が高い。

そう、弁護士にはあるまじき行為・・・。

和奏は、ITツールと関連会社の強力を得て、問題の裏サイトのアカウント管理者の特定を急いだ。

意外にあっさりと犯人は見つかる。

その人物は、すでにこのホテルを退職した中国籍の日系2世である

林美麗(りんみれい)、24歳だった。

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