legal office(法律事務所)に恋の罠
『仲川社長、将生さんは保釈金を支払ってでも保釈した方がいい。彼は大きなヤマに首を突っ込んでいて、今雲隠れすると逃亡したと思われて後々命が危うくなりますよ』

社長椅子に座って、宇津井の話を聞いている仲川社長は青ざめている。

『しかし、桜坂CEOとの約束は、保釈に応じないことも含まれていた。慰謝料の請求もしないと言ってくれたのに、裏切ったら今後は、Hotel Bloomingだけでなく山崎legal officeとの付き合いにも影響が出てくる』

『あんな力のないCEOと弱小弁護士事務所なんて、気にする必要はない。それに、保釈拒否に関してはただの口約束だ。

怖いのは将生さんについているバックの人物の方に決まっている。彼らは反社会的集団で手段は選ばない。どちらが恐るるべき存在か賢明な社長ならわかるでしょう』

宇津井は社長のテーブルに腰をあてて寄りかかると横柄に続けた。

『桜坂の弱味は握っている。夢谷弁護士だって今までも、これからも自由にさせるつもりはない。あんたは黙って俺の言うことを聞いていればいいんだ』

『将生が足を突っ込んでいる案件とは何なんだね?』

仲川の質問に宇津井がニヤケて答える。

『彼氏として付き合った女の子に金を無心し、そのうちにお金を捻出できなくなった女の子を暴力や言葉で脅して、風俗やAVの仕事に引きずり込む。逃げ場をなくしてボロボロに搾取しつくすそんなヤバイ仕事』

『そんな目的で将生が桜坂のお嬢さんに近づいたとばれたらタダじゃ済まないじゃないか』

『桜坂を潰すための策は練っている。将生さんのやっていることをばらされたくはないでしょう?まずは、協力者に渡すための資金が必要だ、協力してくれますね?』

ビデオに映るのは間違いなく宇津井と仲川社長だ。

場所も間違いなく仲川芸能事務所。

宇津井は言い逃れの出来ない窮地に立たされていた。

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