legal office(法律事務所)に恋の罠
「それに、あなたは桜坂さんや夢谷弁護士を見くびり過ぎではありませんか?」

山崎の言葉に耳を傾ける宇津井は、未だに戦意は失っていないようだった。

「女にだらしない社長がセクハラ、パワハラを自ら行っていたという噂が広がれば、ホテルの評判も地に落ちて経営が立ち行かなくなり、今頃株価も暴落しているのでは。そんな社長には誰も力を貸さない」

「その考えが浅はかなんですよ。宇津井弁護士。Hotel Bloomingは世界展開する大企業だ。お客は世界中に存在し、中には反社会的な立場と言われている人々も相手にする。もちろん著名人や各界の有名人だって同じだ」

山崎はため息をついて宇津井を見つめた。

「夢谷さんだって同じだ。この四年間で警察や司法関係をはじめとしたあらゆる組織、団体、個人から信頼を得てきた。彼らは彼女に協力を惜しまない。やりたい放題を尽くしてきた新米弁護士とは格が違うんだ」

「あなたは、私の大切な妹を、弁護士という公平な立場で守るのではなく、私利私欲を満たすため手段として陥れようとした。おまけに和奏さんまで巻き込んで・・・」

奏の言葉を遮るように

「俺は自分の弁護者である仲川将生を守ろうとしただけだ。立場が違えば守るべきものも変わる。違うか?それにこの録画の内容のどの部分をとったら私利私欲を満たそうとしていると言えるんだ?」

宇津井の言葉に、山崎はニコリと笑って新たなフォルダーをクリックした。
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