legal office（法律事務所）に恋の罠

｢それに君は知らないだろうが、和奏の父親は、高等検察庁の検事長をしている夢谷慎之介さんだ｣

｢あんたが養父なんじゃないのか？｣

焦る宇津井に、

｢それは間違いないが、実父も存命しているんだよ。慎之介さんに、君が和奏にしてきたことがバレたらタダでは済まないだろうな。鬼検事として恐れられている人だから｣

次々と突きつけられる新事実に、宇津井の頭は追い付かないようだ。

キョロキョロと視線を漂わせる宇津井に

｢まだまだこれからですよ。宇津井さん｣

と告げる奏。

奏が松尾に目配せをすると、松尾は頷き、会議室の入り口から３名の女性スタッフを中に案内した。

"グループ秘書の丸山美佐紀"

"ハウスキーピング部門の戸松七奈美"

"ティーラウンジアルバイトの柚木崎舞花"

３人は緊張した面持ちで固まる宇津井を見つめていた。