うちの兄が不良すぎて困る。







「遅い」


駅のロータリーに着くとお兄ちゃんが怖い顔で待っていた。

もちろん周りには不良たちがたくさんいて、日比谷さんの姿もある。


「届けてあげたんだから文句言わないでよ」

私はそう言ってお兄ちゃんにスマホを渡した。


本当は来るつもりなんてなかったけど、どうせまたしつこく電話がかかってきそうだったし、あとで文句を言われるのも面倒だったから。



「じゃあ、私、帰るから」


駅にいる通行人たちがこっちを見てるし、こんな不良だらけのところにいたら私まで目立ってしまう。



「ねえ、朔也の妹?可愛いね!」
「本当だ。彼氏いるの?」
「いいなー。俺もスマホ届けてくれる妹がほしい」


いつの間にか私を囲むようにしてお兄ちゃんの友達が集まってきた。

みんな年齢不詳で、髪の毛もピアスも服装も派手な人たちばかり。



「あ、あの……」 


お兄ちゃんの友達だけど、不良は怖い。

やっぱり来なければよかったと不安になっていると……。



「はいはい。そんなにハエみたいに群がらない」


不良たちを落ち着かせるようにして庇ってくれたのは、日比谷さんだった。


< 16 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop