うちの兄が不良すぎて困る。
「お母さん。ケチャップ買ってきたよ」
家に帰ってきた私はキッチンに立つお母さんにケチャップを渡す。
「うん。ありがとう。ずいぶん遅かったね」
だって、不良に絡まれてましたから。
家から目と鼻の先にあるコンビニに行ってきただけなのに、なんかどっと疲れた気分。
私は洗面所でとりあえず手洗いうがいを終わらせて、お母さんとおそろいで買ったエプロンを付けた。
「手伝うよ」
今日の晩ごはんはハンバーグ。お母さんは大根おろしと大葉を乗せて和風ハンバーグにしようとしてたけど、私がどうしてもケチャップとソースで食べたいとワガママを言った。
だから、この時間帯にコンビニに行ったのも、不良たちに出くわしたのも私のせいだから誰にも文句は言えない。
「付け合わせの野菜なににする?にんじんとコーンとブロッコリーにしようか」
「えーブロッコリー?」
ブロッコリーも昔から苦手だ。口の中に広がるザラザラ感とか見た目が植物みたいで食べ物だとはどうしても思えない。
「あら、一時期は克服してたじゃない」
違う。それは食べられない私に代わってお兄ちゃんが……。
ガチャッ。
と、その時。突然、リビングのドアが勢いよく開いた。
そこにいたのは1秒前に心で噂したお兄ちゃんだった。