うちの兄が不良すぎて困る。




「腹へった。飯なに?」


平然と家に帰ってきたお兄ちゃんだけど、実はこう見えて三日ぶりの帰宅。


学校にもまともに行かずに遊びまくっているお兄ちゃんのことをお母さんやお父さんは呆れているというより、もはや諦めていると言ったほうが正しい。



「なによ、急に帰ってきて。いくら連絡しても音信不通なんださら」

「スマホの充電切れてんだよ」


お母さんとお兄ちゃんの会話を聞きながら、私は小判型に捏ねたハンバーグをフライパンで焼く。

数は二つ。お父さんは仕事で遅いからいつも晩ごはんはお母さんと私で食べることのほうが多い。



「食うから作ってよ」

お兄ちゃんの言葉を無視するように、私は振り向かなかった。



本当にお兄ちゃんは勝手。

友達の家を転々として、お母さんやお父さんに迷惑ばっかりかけてる。


髪の毛だってずっと金髪だし、ピアスの穴も蜂の巣みたいに開いてるし。

お兄ちゃんが不良になって悪い人たちと付き合うようになってから私たちのことを見る近所の人たちの目も変わった。


警察から電話がかかってきたことは数知れず。そういえばパトカーで送られてきたこともあったっけ。


お兄ちゃんが外でなにをしてるのか私は知らない。

改造したバイクを乗り回して、マフラーの音をうるさく響かせているお兄ちゃんは本当に全然知らない人みたい。


だから、不良はキライ。

お兄ちゃんのことも、キライ。


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