いろめがね

 誰もいない裏庭で黙々と栄養バランスが考えられたお弁当を
食べていると、誰もいなかったはずなのに、

「なんでこんなところで一人で食ってんの?」

そう声をかけられて後ろを振り向くと、茶色っ気の入った短髪の男子生徒が
後ろから私の事をのぞき込んでいて、息が止まるかと思った。
突然だということもあるが、その男子生徒があまりにもかっこよかったから
かもしれないと、今ではそう思う。

「なんでって、あんたには関係ない。私は一人がいいの。
一人でいないと迷惑になるの。だからほっといて」

そう告げると、男子生徒は遠ざかるどころか、
私の座っていた反対側のベンチに座りだし、

「あんたじゃなくて、あき。森あき。
 それにあんたと同じクラスだから関係なくもない。
 千夏の誘い断ったり、一人で飯食ってたりなんか訳があるんだろう。
 みかげ、悲しい顔してる。」

< 4 / 7 >

この作品をシェア

pagetop