いろめがね
誰もいない裏庭で黙々と栄養バランスが考えられたお弁当を
食べていると、誰もいなかったはずなのに、
「なんでこんなところで一人で食ってんの?」
そう声をかけられて後ろを振り向くと、茶色っ気の入った短髪の男子生徒が
後ろから私の事をのぞき込んでいて、息が止まるかと思った。
突然だということもあるが、その男子生徒があまりにもかっこよかったから
かもしれないと、今ではそう思う。
「なんでって、あんたには関係ない。私は一人がいいの。
一人でいないと迷惑になるの。だからほっといて」
そう告げると、男子生徒は遠ざかるどころか、
私の座っていた反対側のベンチに座りだし、
「あんたじゃなくて、あき。森あき。
それにあんたと同じクラスだから関係なくもない。
千夏の誘い断ったり、一人で飯食ってたりなんか訳があるんだろう。
みかげ、悲しい顔してる。」