いろめがね
これが、私とあきの初めての会話。
これが私とあきの始まり。
この時私は、どうしてこの人は私を見透かしたのように
話すんだろう。どうして私の気持ちがわかるんだろう。
そう感じたとともに、この人に心を許してしまいそうで、泣いてしまいそうで
怖かった。
「とにかく、毎日俺がみかげとここで飯を食う。
昼休み二人だけの約束な。おれのこともあきって呼べ。
じゃあ今日はこれだけ頂いておくわ。」
そういうと私のお弁当の卵焼きをとって、笑顔で去っていった。
あき。この時の笑顔が今でも私は頭から離れないんだ。
きっとこの時から、あなたに救われていたんだと思う。
あきは私を救っているなんてひとかけらも考えていなかったんだろうけど。