レンダー・ユアセルフ
静かな空間に支配される。橙の小さな光に照らされた彼女の白い肌が、粟立ったまま宵に暮れた室内に浮かび上がっていた。
信じていた幼馴染のまさかの暴挙。驚き戸惑うアリアナと、そんな彼女の悲痛な姿を前に尚も茫然自失と視線すら動かせずに居るジョシュア。
──自分のしてしまったことが信じられない。
聞くまでもなく後悔に暮れた彼の表情は、保ち続けていた一本の糸に自らの手で鋏《はさみ》を入れてしまったかのようだった。
「……リア……ごめ…」
蚊の鳴くような声で震えながら口に出されるジョシュアの言葉。何も言えずに固まる彼女をもう一度泣きそうな瞳で見つめた彼は、上半身裸のまま膝立ちで自らの顔を両手で覆い、項垂れるように深く頭を下げると。
「ごめん、アリアナ。本当にごめん」
──彼女の胸中に芽生えていた恐怖は、彼の言葉だけで拭い去ることはできなかった。
勿論許したい。第一彼女が「純潔じゃない」と告げたことが彼のこの衝動を引き起こしたのだから、責任の一端は自分にもあると彼女は理解していた。
しかし身体は一向に震えを止めてくれない。気丈に振る舞おうとする心とは裏腹に表情は引き攣り、「もうやめてね」と口にした言葉ですら震えを隠せずに居た。
この出来事は、彼女とジョシュアの間に決定的な溝を与えることになる。