レンダー・ユアセルフ
ミーアに聞くと、どうやらジョシュアは近隣諸国との外交政策に日夜明け暮れているらしく。これまで平穏だった隣国同士が不穏な気配を匂わせているらしいと、噂好きのミーアは女中仲間から聞いた情報を教えてくれる。
「それでですね!また奥方が一騒動起こされたのですよ。聞いてくださいます?」
すっかりアリアナには打ち解けたらしいミーアは、余っ程王妃に恨みつらみがあるらしく、事ある毎に愚痴を聞いて欲しいとやって来る。
最初こそ窘めていたアリアナだったが、面白おかしく物真似まで披露するミーア相手に根負けし、今ではこの時間が楽しみになってしまっていた。
最近の王妃について一頻り語ったミーアは漸く気が済んだらしく、吊り上げていた眉を落ち着かせると次いで懐かしむように目を細める。
「奥様はジョシュア様が幼い頃からあのような振る舞いをなさるのです。事ある毎にジョシュア様を貶めるような言葉を口にされるので、幼少から大人びた少年だったと」
「ミーアはまだ若いでしょう。幼い頃から王宮に仕えていたの?」
「いいえ。わたくしの母もこのお城にお仕えしていたので、よく存じております」
ふと、思い出したのは小さかったジョシュアがよく懐いていたという女中だった。