レンダー・ユアセルフ
その彼女の問いかけに対し、待ってましたと言わんばかりに瞳を輝かせた一国の王子はというと。
「午前の仕事が一段落したら、また一緒にお茶してくれない?」
そんな誘いの言葉をウインク混じりに向けてくるものだから、堪らない。ミーアは困ったように破顔する。
「そんな。たまには他の子も誘ってくださらないと、わたくしも居たたまれません」
「仕事を手伝っていたことのしたら良いじゃない。言わなきゃわからないでしょ?」
「ジョシュア様。ティーセットを2セット運んだ後にその台詞を申しましても、残念ながら誤魔化しきれないです」
苦笑しつつそう応酬するミーア。対するジョシュアはいじけたように頬を膨らませ、「そんなに嫌なら無理強いしないよ」と外方《そっぽ》を向いてしまう。
まるで甘えるかのように見える彼の言動には理由がある。それは、
「一時間もいただければ一段落すると思われます。またその頃合いに、お伺いしますね」
何だかんだ言って彼女は結局王子の誘いに乗ってしまうのだと、経験上自信があったから。
困ったように微笑んでジョシュアを見つめるミーア。その眸には隠し切れない愛情が溢れ出ている。