レンダー・ユアセルフ





金髪碧眼の青年──実をいうと彼は隣国の、のちにダンスパーティで二度目の再会を果たすことになる王子ジーファだったのだ。





アリアナとは違い彼は彼女の正体をすぐに理解した。

何故なら、アリアナは彼の数多く存在する妃候補の内の一人だったのだから。




以前肖像画をみたときにも思ったほどであるが、彼女はとても珍しい髪色を生まれ持っている。

背中全体を覆う蜂蜜色の艶やかなそれは、あらゆる光に煌めいて金色に波打っていた。




そして併せ持つように瞳も同色で。直接目の当たりにしたジーファは余りの美しさに息をのんだほどだ。




たとえ侍女服で包まれていようとも、麗しい空気までは変えることができなかったらしい。

未だに彼女の正体に気付かない男子にさすがに苛れたのか、ジーファは頭ひとつぶん低い彼の肩に腕をまわすなり小声でなにかを囁いた。



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