レンダー・ユアセルフ






「……きみはもしかして、…いや。何も知らされていないのか」







全ての糸が繋がったとでも言いたげな表情。すっきりとした、それでいて複雑な色を浮かべた彼の表情は、まるで今までの穏やかな笑みが嘘かのように真剣な面差しに塗り替えられていて。

そうなってくると、意味がわからず疑問がわき起こるのはアリアナである。







「ジョシュア。さっきから一体何の話?私、返事なら先月…」

「いや、いいんだ。変なことを聞いて悪かったね」







そんなことを言いながらも、彼の眸はまるで燃えるような闘志に滾っていた。

しかしながら、先の台詞を受けて「はいそうですか」と引き下がるほど単純ではないのがアリアナである。

ジョシュアが「文通を遮断された」と言っていたことを直ぐに忘れられるほど、単純では。








「──もしかして、お父様が手紙を…?」








ほぼ意識の外側でこぼれおちた声音。それを受けて振り返るジョシュア。









「……僕がここに来たのは、きみの安否が心配だったから。それともう一つ」

「もう一つ?」

「アリア、…ごめん。アリー、きみ、婚約したんだって?ユースヒトリの王子と」









声を潜めて告げられた台詞に思わず目を丸くする。




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