レンダー・ユアセルフ





アリアナは今年17歳、ジーファは21歳になる。

年端の割に大人びた印象を与えるアリアナだからこそ、彼と並んでもなんの疑念も抱かれずに周囲を魅了するのだろうけれど。







「……私がお父様に告げ口するとは疑わないのかしら」

「したいならばすればいいさ。まあ、それで困るのはきみだろうけれどね」

「どういう意味よ?」

「そのままだよ。責任を取って結婚、なんてことになったら僕のことが嫌いなきみは困るんじゃないのかな?」

「相変わらず最低な中身でとっても残念だわ」

「お褒めにあずかり光栄だよ、レディ」







その瞬間。自然な仕草で持ち上げられた彼女の隻手、その甲にジーファはやんわりと口付けをおとす。

それを絶え間なく見守っていた周囲──といっても彼らの悪辣たる会話には気付きもしなかったけれど──は俄《にわ》かに色めき立った。




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