レンダー・ユアセルフ
反して彼女はげんなりとした視線で青年を射竦める。
なにを言ったところで然して功を奏するわけでないことは重々承知していたからこそ、彼女は肩を竦めるに留めた。
「貴方を見ると反吐が出るのよ。消えてくれないかしら」
「それはちょっと無理な相談じゃないかな?酒宴は今がたけなわなのに僕が去ったら、きみの国の重鎮であるこの屋敷の侯爵殿はとっても困ると思うけれど」
「……、それなら私に構わないでくださらない?」
「折角きみは聡いのに、僕がからむと逆上してあまり頭がまわらなくなるようだね。残念だけど、それは弱点となり得てしまうんじゃないかな」
「────ッ、」
アリアナの心を憤然たる思いが渦巻いた。それはもう、嵐のごとく。