2度目の忘れられない恋


お言葉に甘えて、三影さんに車で送ってもらうことにした。

車の中で色々話しかけてくれたりしたんだけど、

…三影さんと秀が、一瞬重なって見えてしまう。

秀は、自分の意見が言えない人だった。

優しい性格のお陰で、周りの人のために自分を押し込むような人で。

そんな時はいつも苦しそうな笑顔を見せる。

三影さんがたまに見せる笑顔は、そんな秀そっくりだ。

「ん?どうかした?」

あ、無意識に三影さんの顔をじっと見てしまっていた。

「…いや、
なんか、苦しそうな笑顔だなって思って…」

「え?」

「あっ、すみません!失礼な事を…忘れてください」

ダメだ、つい口に出してしまった…

「…そう見えるのか」

「え、?」

「ううん、何でもないよ。
ここで良いのかな?」

「はいっ、色々ありがとうございました…」

「良いんだよ、お大事にね?」

車を見送って、家に入る。


秀と重なったあの笑顔は、今日が秀の命日だからかな。

うん、きっとそうだろう。

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